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 カントリー・ロック系にジャンル分けされる人のようですが、ここではR&B調のファンキーな曲も歌っていて、中々バラエティに富んだ内容だと思います。ともすれば散漫な印象になってしまいそうなのに統一感のある不思議なアルバムです。
 歌詞カードに「Thank you Jeff Porcaro for bringing my music together. Your attitude and professionalism brought joy and inspiration to all of us」という記述があって、このアルバムの1曲ごとに非常に研ぎ澄まされたものが感じられるのはジェフに拠るところが大きいのかな〜と思ってしまいました。
 EW&Fを彷彿とさせるファンク・ナンバー "Money Alone"、粘っこいグルーヴですね、これ。イントロのスネアのフィルから糸をひくような粘りがあってゾクっとします。
 スパニッシュ風の "Child Of My Dreams"、歯切れのいいジェフのプレイが気持ちイイ♪ パーカスも多く、ホーンを導入した大編成の演奏だと思いますが、綺麗に整理されていて、音がどれも埋没せずによく聴こえます。ドラムの音もはっきりくっきりよく通って、要所要所を引き締めてバンドを引っ張っているジェフの様子が目に見えるようです。あ〜、カッコいい。
 "Whispering Water"、これはネイティヴ・アメリカンを思い起こさせる、何か超自然的な雰囲気を持った曲です。交互に3/4、4/4が入れ替わり、中間部に間奏ではない長いインストが用意され壮大に盛り上がります。土着の民族音楽のようでありながら泥臭くならず、またアルバムの中で浮くこともなく、しかし大きな存在感を持った曲として一際煌きを放っています。このインストの導入部の3拍子でフルーゲルホルン(かな?^^;)が演奏される部分で、ジェフはロールを効果的に使って盛り上げていきます。ドラムをただのリズム楽器として演奏していないのが、この部分によく顕れています。
 普通にジェフのドラム・プレイを期待するなら物足りない曲かも知れませんが、ジェフが参加していることでこのアルバムを買ってこの曲を聴けたことは、私にとっては予想以上の喜びとなりました。長くなってしまったので、他の曲にこれ以上触れませんが、ジェフが大きく関わったアルバムとして、ファンの方には是非聴いて戴きたい1枚です。
 


 打って変わって、フュージョンっぽいサウンドが粋なアルバムです。極寒のアイスランド出身という噂のある人らしく、実際、何曲かアイスランドでレコーディングされたということで、全体にどこか冷んやりとした硬質な印象があります。ジェフはアイスランドには行ってないと思いますが(^^;
 軽快なダンス・ナンバー "Meet Me After Midnight"、ジェフはハットを8分で刻んでいますが、全くもって16ビートにしか聴こえません。素晴らしすぎ。スネア、タムが金属質な、しかも銅とか鉛みたいなあまりギラっとしてない感じでなんかイイです。
 後半、3曲のインスト曲の内、2曲がジェフです。まず "Shell Shock"。中々起伏に富んだ構成になっていて、ジェフは勿論、場面場面にピッタリはまったアプローチで曲を支え盛り上げます。最初のKeyのテーマ部分、シンコペのキックと正確無比なクローズド・リム・ショットの対比が張り詰めた雰囲気を出していて秀逸です。
 曲想はもう少しソフトなムードの "Life Saver"、イントロのフィルが、まるで両腕を鷲づかみされるような力強さでグッときます。特に仕掛けのない流れるような曲ですが、ジェフのヘッドに食い込むようなキック、バック・ビートがあまりにも存在感が凄くて、これによって曲の印象も何倍も高まったと思います。余計なことを全くしない、本当に男らしいプレイです。
 


 リトナーが自ら見出したヴォーカリスト、エリック・タッグをメインに据えた、AOR的な仕上がりのアルバムです。
 1曲目がそのエリック・タッグのヴォーカル曲 "Mr. Briefcase" で、彼自身の手による曲。初夏の若葉のように瑞々しくセクシーな歌声で、大変に魅力的です。1時間くらいこの曲だけぶっ通しで聴いてても飽きません。ジェフの軽快なシャッフル・プレイは言うまでもない素晴らしさ。曲の進行に伴ってハットのニュアンスがどんどん豊かになっていって、それだけで曲を盛り上げてしまいます。ギター・ソロのところで、キックを4分打ちにしてグルーヴに変化を出しているんですが、こういう僅かなことで曲の印象度って随分変わってきますよね。流石!
 プッシュ感満点のビートが気持ちいい "Good Question"。スネアの音色、タイミング、どちらも最高です。終わりの方に出てくる次の拍へ食い込んでいくフィルが、タめながらグイグイ引っ張ってくれて、何とも爽快です♪
 


 メロウとハードを兼ね備えた魅力的なアルバム。リチャード・ペイジとスティーブ・ジョージのめくるめくようなコーラスは眩暈さえ覚える美しさです。
 1曲目 "You Need A Hero"。ニール・スチューベンハウスのベースとのコンビネーションが抜群です。後半、スネアをかなりぎゅう詰めに叩いていて、それが異様な程に緊張感を高めて息苦しさを感じるほどです。サビの終わりの切れ目に入るカップの音が印象的。
 ジェフの美しいシンバル使いが堪能出来る "Come On Home"。スネアが参加曲全てにおいて、ドスっという感じの太くて重い音なんですが、凄くハマってますね。なんか不思議。
 7拍子のプログレッシヴ・ナンバー "Automatic"。しかも高速(^^; が、余裕のプレイのジェフ。サスガ! ニヤッと笑うジェフが目に浮かびますね〜。キーボード・ソロの後の怒涛のタム転がし。しええ〜。ハット・オープンが、電流が走っているのかと思わせる閃光のような音色です。
 


 R&Bの女王ランディ・クロフォード、ミディアム・テンポの落ち着いたナンバーが揃った大人なアルバム。それに呼応するように、ジェフのドラムもミュートが効いたタイトな音色。全体にこもり気味の音質ながら、クリアにドラムの音が通ってます。
 イントロのフィルに凄いスピード感があって、高速の曲かと思いきや、マイナー調のミディアム・ナンバーが始まり、そのmisdirectionが気持ち良さを一気に引き出す "You Might Need Somebody"。非常に微妙なテンポですが、見事にグルーヴさせてます。溜息が出る素晴らしさです。フェイド・アウト直前に入るシグネイチュア・フレーズも空間が充分に感じられて秀逸です。
 "That's How Heartanches Are Made" での曲にぴったり寄り添ったプレイ展開には魂を奪われます。物凄く巧い人がただの一打も変えないで正確にこの通り叩いたとしても、こうはならないでしょう。ジェフだから出る雰囲気です。は〜、ステキ過ぎ...(*v.v)。
 タイトル通りブルーな雰囲気を湛えたボサノヴァ・ナンバー "Rio De Janeiro Blue"、クローズド・リム・ショットの音色が惚れ惚れする美しさです。ボサノヴァっぽいタムの入れ方も、ジェフにかかると唯一無二の音と存在感。
 タイトル曲の "Secret Combination" はゆったりしたシャッフル・ナンバー。"Hold The Line"と同じくらいのテンポなのに、全く印象が異なるプレイ。優しくて柔らかくて音がほんわかしてる。ジェフのプレイとか音って聴いたらすぐに分かるのに、曲によって微妙に色が違うのが凄いな〜 っていつも思います。
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