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 キャロル・ベイヤー・セイガーとバート・バカラックの結婚の前年にリリースされたということで、大変にスゥイートな雰囲気に満ち満ちたアルバムです。曲間がほとんどないせいか、まるで1本の映画を観るような印象があります。
 リチャード・ペイジのヴォーカルがフィーチャーされた "Wild Again"。後半、ジェフがドスッとタム響かせて入ってきて盛り上げます。スネアの、ヘッドから響き線へと音が突き抜けていく快感が溜まらないです。
 少しブルーな雰囲気のドラマチックなバラード "Easy To Love" では、パターンのあちこちにカサコソっと入るスネアの音に思わずドキムネ ♪ギター・ソロの手前の、キーボードとドラムスだけになるところ、最初のクローズド・リム・ショットの音色にクラッときます。パターンで歌うジェフの真骨頂ですね、本当に美しいです。そのギター・ソロの後のサビに向かうところで、ハットをハーフ・オープンにしていて、これはジェフがよくやるんですが、もう何が何だか分からないくらい気持ちが高揚します。後半のダイナミクス感に溢れたフィルが確実に曲と聴く者の心を盛り上げ、エンディング近くではバック・ビートにタムを重ねて、これがまた効果絶大です。
 6曲参加、どれも歌心に溢れた温かいプレイを聴かせてくれます。
 


 映画『Arthur』のサントラが'81年の作品なんですが、これは持っていませんので、ベスト盤からテーマ曲の "Arthur's Theme" を取り上げました。
 前出のキャロル・ベイヤー・セイガー、バート・バカラック、そしてピーター・アレンとクリストファー・クロス共作によるバラードの名曲。クリストファー・クロスの透明感のある歌声が際立って美しく、バックのピアノ、ストリングス、間奏から入るサックスと、全てが相俟って曲を麻薬性のあるものにしています。
 何度も聴きたくなる一番の理由は、勿論ジェフの名プレイ(^^♪ 曲の要所要所を見事に引き立てるハット、シンバル、スネアのプレス・ロール。16ビートのハーフ・タイムの独特の波のあるグルーヴが、まるで体全体を包み込むようで本当に気持ちイイの一言。
 間奏のサックス・ソロ以降では、タムを絡めたパターンに加え、ハード目のフィルを入れて曲に力強さを与えていて、これによってこの曲が特別な曲と成り得たのだと思います。
 


 デヴィッド・フォスターのプロデュース、アレンジで、大変に煌びやかでドラマチックな曲が揃ったアルバムです。キラキラしていながら抜けた明るさがなく、どことなく哀感が漂うのは、カナダ出身のドウェイン・フォードの持ち味によるものなんですね。
 ジェフのバウンス・グルーヴが最高にカッコいい "Lovin' And Losin' You"。キックのダブルの音量バランス、音幅が素晴らしい。柔らかくしなやかで、決してつんのめらない。間奏の後、何度も出てくるシグネイチュア・フレーズ、♪〜ダ・ダチー!の連続フィル、音色が湿って重いせいか、この上なく扇情的。
 "Stranger In Paradise" は、大きな8ビートのノリを出しながら、ハット、シンバルで細かな16音符の刻みを入れ、曲に広がりを与えていて素晴らしいです。バック・ビートはロールっぽく響かせていて、音の流砂が舞い落ちる感じが美しくてうっとりさせられます。
 高速のハード・チューン "The Hurricane"。ハードなんですが、雨に濡れたような独特の雰囲気があって、妙に色気を感じる曲です。その要因の一つが、ジェフのハットの音色です。ハットのハーフ・オープンをこんなに美しく鳴らせるのはジェフだけじゃないかと思います。間奏、ユニゾンの印象的なキメを経た後の最後のサビに行く前のブリッジ、ここがダブルのキックを連続でドコスコ入れていて、気絶ものの凄まじさです。
 続く、"Midnight Ride"、これもドライブ感満点で、サビのライドのカップが、まさに"Ride"(ノせる)。
 


 '50年代風のゆったりしたハチロク、8ビートのミディアム・ナンバーばかりのアルバムで、全編、ジェフとエド・グリーンのレイド・バックした極上のグルーヴに酔える好盤。
 タイトル曲 "Don't You Love Me Anymore" のエンディングのユニゾンのキメ部分、他のパートが消える1拍でのキック3連打が最高に気持ちイイです。
 派手なプレイは全くなしで、バックに徹してるといった感じですが、ちょうど『Turn Back』と同時期にこういうアルバムでこんなプレイをしているというのが何だか趣き深いです。
 エンゲルベルト・フンパーディングのとろけるように甘いヴォーカルも素敵で、私的にかなりお気に入りのアルバムです(^^♪
 


 数多いジョージ・ベンソンの曲から厳選されたベスト盤で、これを持っていればベンソンの魅力はほぼ分かると思います。新録音3曲の内、2曲がジェフ。
 1曲目に収録された "Turn Your Love Around" で、ジェフのプレイが聴けます。メロディ部では音が分厚過ぎてドラムの音が埋没してしまってるのが残念ですが、独特のハネたグルーヴはしっかり感じられます。ジェフのフィルがピックアップされる部分はもうカイカ〜ン♪ プロデュース、作曲にジェイ・グレイドンで、ルークとビル・チャップリンが作曲に名を連ね、バックにはペイチ(Synthe. Bass)、デビッド・フォスターと、何だか意外な顔ぶれです(^^;
 もう1曲はアレサ・フランクリンとのデュエットで、前出の『Aretha』のアルバムにも収録されています。非常にスロー・テンポのバラードで、物凄くゆったりしているのにダラっとならないのが素晴らしいです。ハット一打一打のこの緊張感、溜まりません。
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