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あの二人との再会

『ハイドラ』のプロジェクトと平行する形で、ジェフは久々にスティーリー・ダンのアルバム『Gaucho』にも参加しました。リンク先を参照する。 ジェフの記憶によれば、このセッションでは一応全ての曲でプレイしたようなのですが、最終的にリリースされたアルバムでは、いつものことですが、アルバムのタイトル・ソングである"Gacho"のみにクレジットされるにとどまりました。

 それにしても1曲目の"Baylon Sisters"ですが、凄いグルーヴですね〜。バーナード・パーディは元祖ゴースト・ノートと言ってしまっていいのか分かりませんが、ジェフの叩く"These Chains"『The Seventh One』、"Out Of Love"『Past To Present』等と比較してみると面白いですね。似たようなことやってるのにこうも違うノリになってしまうのですから。一緒にプレイしているミュージシャンも違うのでこういう比較は全く無意味なのは分かってますが、それでもタイム感の味付けというか、フィールの差が面白いです。

 また、このセッションには当時人気を誇ったダイアー・ストレーツのマーク・ノップラーが参加してます。ジェフは彼について......、
 「譜面読めないっていうのに、信じられないくらいのプレイヤーでね。もっとも、コードには彼独特の記号をつけてるけどね。それで、ミュージシャンの間でこんな冗談が出るんだ。彼は誰のためにそんな混み入ったコードチェンジ、それもバーごとに13チェンジもあるやつを使ってるんだろうってね。で、それさえ分かれば、その特殊な記号が何を意味してるかわかるって」。

 このマーク・ノップラーとは1990年代に入り今度はダイアー・ストレーツのアルバムで再会することになるわけですが、この『Gaucho』のセッションが引き金になっていたりするのでしょうか?

 さて、ジェフが唯一クレジットされた"Gaucho"ですが、この曲の録音に関して関係者は一様に苦労したようです。ジェフも数々のインタビューでこの時のエピソードを披露しております。皆さんご存じとは思いますが、ここでそれらをまとめてして紹介してみます。

 スティーリー・ダンはこの曲をいろいろなミュージシャンを起用して録音を試みたのですが、結局どの録音にもかの二人を満足させるような仕上がりにはなりませんでした。そこで再び別のメンバーで録音し直すこととなり、今度はアンソニー・ジャクソン、ヴィクター・フェルドマン、ロブ・マウンジー、スティーヴ・カーン、ジェフというメンバーが呼び集めらることになりました。
 4時間もぶっ続けで録音した結果、夕食前にはジェフ達が"これはイケるぞ"と思うテイクが録れたのですが、しかしまたしてもスティーリー・ダンの二人は"NO"として、首を縦にふらなかったそうです。そんなわけで、夕食の後も続けて再度トライし続けたのですが結局最終的にこれらも上手く行かず、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーはその曲をボツにすることにしました。
 しかしジェフ達は曲に慣れて来たし、思い入れも出てきたので、諦めたくありません。彼らはフェイゲン、ベッカー、ヴィクター等がスタジオを去った後でプロデューサーのゲイリー・カッツに、残りのメンバーでもう二、三回だけやってみたいと頼み込み、再度録音を試みました。

 ジェフ......
 「それから結局朝の5時までかかってトラックを仕上げたんだ。ゲイリーから言われた箇所をちょっとやり直したりしてね。そして次の日の休憩時間にベッカーとフェイゲンにそれを聴かせてみたんだ。僕達はみんな、彼らは僕らのことを笑うだろうって思ったんだけど......。案の定彼らは笑ったけど、それは彼らがそのサウンドを気に入ったからだったんだ。それからいつものように彼らはドラム・トラックだけキープして、そこから自分達のアイディアの完璧な再現に向けて再構築させていった。確かに苦労の連続だけどミュージシャンにとって、スティーリー・ダンの音作りに参加することは、お金よりも意味のあることなんだよ」。
 ちなみにジェフは翌日TOTOのコンサートがオクラハマであった為に早々にスタジオを後にしたそうです。



Gaucho _ Steely Dan
MCA RECORDS INC.

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