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Jeff talk about his drumset
 次に1981年頃に行われたセッション時のものと思われる写真等からも考察を進めてみます。まずはなんと言ってもこれかな! 結構あちらこちらで使われている写真だと思いますが。
 バンダナを頭に巻いた姿がバッチリと決まったジェフのお姿ですが、こちらの写真は力ズ・マツイのセッション時のものと思われます(注1)。わずかに見えるドラム・セットはラディックを主体に組み上げられた複合セットなのでしょうか? この一枚の写真だけでは謎だらけで推察さえも不可能なのすが、実はこのセットは "あの伝説のライブ" でも大活躍することになります。

 この項の始めの部分で「TOTOとしてのライブは行われなかった」と書きましたが、実はジェフは『Greg Mathieson Project / Baked Potato Super Live !』(注2) というライブ・アルバムを残しています。そうです、このスーパーなライブでも実は上記の謎のセットにて演奏がなされていました。ではこの時のハードウェアの謎解きにチャレンジしてみましょう。

 Greg Mathieson Super Project によるベイクド・ポテトのライブ・アルバムは、1982年当時、結構いろいろな雑誌で取り上げられたので比較的に資料が多く残っているのではと思ってもみたのですが、数はあれどもジェフの姿は無しってか(^^; ドラム・セットの全貌が分かるような写真はありませんでした... いや、私の手元にはありませんでした、すいません。


 で、この写真が(注3) 一番まともにドラム・セットが写っていると思われます。手元にある他の写真はどれも角度がほとんど同じものばかりなので、見比べるにしても材料が不足気味です。
 基本的なセットは(注1)の写真に写っているものと同一のものと判断できると思います。一番の小径のタムと、バス・ドラムはナチュラル・カラー仕上げで、バス・ドラム上にセットされた2個のタム・タムはレッドのフィニッシュ。フロアーはこの写真からは判別ができませんが、力ズ・マツイのセッションと同様の組み方をしているならば、仕上げはナチュラルのものと思われます。そしてスネアーはメタル製のものを使用しているようです。興味深いのはヤマハのセットでは10インチのタムをセットしていたわけですが、ここでは割と口径の大きめのタムをセットしているように見えるんですが...。

 と、ここまでは想像をしてみたものの、やはり私にはここまでが限界でして(^^; こうなるとまたまたよっさん、RED氏に鑑定をお願するしかありません(^^; んが、これが意外な展開に...。なんと海千山千のお二人ですが、今回のこの謎の複合セットにはかなりの悪戦苦戦。では、そんなお二人の悩む様子をドキュメント・タッチで挟みながら、このセットの正体を明かしていただきましょう!

(注1) 力ズ・マツイのセツション時と思われます...
 当時、月間『アドリブ』誌に掲載された力ズ・マツイの記事で確かこの写真が使われていた記憶がありますのでぇ...。
Kazu Matsui / Time No Longer
(注2) Greg Mathieson Project / Baked Potato Super Live !
RED氏 :
 ペイクド・ポテトのナチュラル・カラーのタムはオフセット・ラグ(注4) なので、グレッチの10" インチに間違いないですね(注5)。ただ胴が赤いセットに関しては降参です。ラディックっぽくもあるのですが、タム・ホルダーの形状が違いますよね? あとそれにメーカー・バッジがあるぺき所に無いような気もします。ラディックのBOバッジ以降は二箇所にバッジがあるので必ず写真に写るハズですが、それが写ってませんよね?
 ペイクド・ポテトに関しては影響力ありすぎてあまり無責任なこと言えませんが、ドラム・セットがビミョーに古いような気もします。なんかグレッチっぽいんだよな〜...。グレッチに古いラディック・タイプのホルダー付けてるっぽいし。謎だぁ。
よっさん :
 タム・ホルダー自体はラディックですね。バスドラのタム・ホルダー受けがラディックっぽくないです。良く写真見ると、あの赤色が腑に落ちない。残念ながらブルー/オレンジ時代のラディックのカタログを2冊(表紙がシルバーのキットとウッド調のようなキット) 紛失してしまってるので調べようがないんですが。
 それに、2005年5月号のドラマガのジェフ特集にベイクド写真が何枚かありましたよね?(注6) スネアーが写ってるけど、フォニの薄胴があたかもブラック・ビューティー風に見えるぐらいクスミ気味…。そうこう考えると、あのアルバム、ちょっといつものジェフらしくないミュート掛ったなようなシンバル音になってたのも今更ですが、気になったりして来ますね。
RED氏 :
 赤いタムのタム・ホルダー・ブラケットは何かを付け替えたような? ネジ穴跡が見えません?
よっさん :
 RED氏が言うように、確かにタム・ホルダーとタム・ホルダー・ベースの接合部分、ガムテか何か巻いてますね...。考えるに、このナチュラル・カラーのバスドラムがグレッチだったら、あのリハ映像(注7) に写ってたナチュラルのバスドラムと同一モノなんかなぁ? でも、グレッチ固有の内側がシルバーじゃないし?
RED氏 :
 スネアはラディックのスープラ・フォニック、スーパー・センシィティブ、ブラック・ビューティーのいづれかですね。タム類は、タムのネジ穴跡(ダイヤモンド型)からしてグレッチかスリンガーランド。ラディックのブラケットが付いてるってことは、元々タムホルダー・ブラケット部分はバージン(貫通型じゃない)と推測してグレッチかな〜 (スリンガーランドのタムは60年代後期に処女喪失、グレッチのタムは'70年代後期に処女喪失)。バス・ドラムはブルーオリーブ・バッヂのラディックでしょう。ラグもラディックっぽいし。

 と、お二人の悩める様子を取りまとめてみました(注8)。で、結局のところはどうよ? ってなりますが、この頃のジェフが、自身の求めるサウンドを追求した結果を元に組み上げられた "スーパー複合セット" でも呼べば良いのでしょうか? ジェフがここぞとばかり、本気印モードになった時に出番となる勝負セットとだった可能性は十分にあると思えませんでしょうか。時期的に考えても『TOTO IV 〜 聖なる剣』なんかもこのセットで録音されているのでは思えてきます。

  それと上記のよっさんの発言にも出てきましたが、2005年に『ドラム&マガジン』誌で2号連続でジェフ特集が組まれていましたが、その時におそらくベイクド・ポテトでのライブ時の写真と思われるものが数点掲載されました。がしかし、ドラム本体の写真が一枚も写っていないというなんとも奇妙は現象が (^^;

(注4)オフセット・ラグ
 上下のラグの取り付け位置がずらしてあること。
(注5)グレッチの10" インチに間違いないですね
 いきなり私の推察は外れてますね(爆)




(注7)あのリハ映像
 近年話題になった某日本企画のアルバムでのジェフのレコーディングの様子を納めた映像。あっという間に闇に消えて行きました。
(注6)ベイクド写真が何枚かありましたよね?




(注8)お二人の悩める様子を取りまとめてみました
 
make : Gretch + Ludwig
finish : Natural + Red
tom : 10" (Gretsch)
tom : 8" x 12" (Gretsch)
tom : 9" x 13" (Gretsch)
f.tom : 16" (Gretsch)
bass : 22" Ludwing
snare : Ludwing スープラ・フォニック or スーパー・センシィティブ or ブラック・ビューティー
考察 by よっさん、RED氏
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