home Drum Gear
Jeff talk about his drumset



1980
 TOTOの一員として待望の初来日を果たしたわけですが、この時に使用したドラム・セットの全景を捕らえた写真をなかなか見つけられなかったのですが、どうにか探し出したのがこの一枚の写真です。小さいのでちょっと判別が難しいと思いますが......なんと3フロアー・タムに特大のバス・ドラムという化け物みたいなセットですね。


 そして「ドラム・ラック」も日本では本邦初公開となりました。当時の日本ではこのラックがどのような評価を受けたのか全く分からないのですが......話題になったのか、それとも全くならなかったのか? そして作りもまさに試作品風とも見えるように、荒々しさが伺えます。またこのモデルが1982年の来日の際に持ち込まれたものと同型のものかも判断が付きかねる所ですね。


 さて本体のドラムですが、一見するとラディック社のヴィスタライトのように見えますが、実はこのセットはジェフお得意の複数のドラム・セットからパーツをピック・アップして組み合わされたものですね......と、つい先日まで一人で、思い込んでいたのですが、このテキストを書くに辺り、いろいろと調べてみると、何とこのセット! やはりラディック社製のヴィスタライト・モデルでした!!






 実は筆者はこのモデルを前述のように多種メーカーからの複合モデルであり、そのベースとなるのは当時ジェフが所有していたスリンガーランド社のクローム・モデルだとばかり思っておりました。しかし、そのモデルとされるバス・ドラムはサイズが 28" インチもあり、その姿を想像するからにあのセットとはサイズが違うよなぁ〜と、自分なりにもその説にしっくりと来てなかったのです。

 それで、もう一度調べ直してみますと、実はヴィスタライト・モデルには "Chrome over Vistalite" と言われるモデルが存在していたことが分かりました。このモデルはラディック社でも正規のラインには乗っていなかったようで.....、ここから以下の話しはもしかすると単なる噂に過ぎないのかもしれませんが一応参考までに.....、そもそもこの "Chrome over Vistalite" のその生い立ちがいい加減なもののようです。どういうことかと言いますと、実はヴィスタライトの初期ロットをオーダーする際に、管理上のミスによりホワイト・シェルのモデルを、実際に必要とされていた数量の3倍もの生産をしてしまったらしいのです。ところが、このホワイト・モデルは大不人気モデルとなってしまい、後日、倉庫に山積みとなってしまったわけです。それで、この在庫の山を処分するために考え出された案が、当時、通常の木製のシェルにクロームのパネルを取り付けるのが流行っていました。じゃ、これと同じことをヴィスタライトでもやってみようか、ということととなり、不人気カラーであったホワイトとブラックのクリア・シェルに上からクロームのパネルを巻き付けたということです。元来ヴィスタライト自体、アクリルの板を熱で加工し折り曲げ、継ぎ合わせていたこともあり、強度的な不安も若干あったわけですが、こうすることでその不安も取り除けるという、一石二鳥的なアイディアでした。

 しかし、上記のような理由があったからか、どうか分かりませんが、一種特注品のような扱いとなっており、更に、ジェフの場合はクリア・シェルとクローム・シェルの混成という更に、その上をいく非常に珍しいモデルでもあります。もっともこの頃のジェフはラディック社とはエンドース契約を結んでいたわけですから、ジェフが望めばその組み合わせは如何様にもなったことでしょう。

 このようにこの "Chrome over Vistalite" という非常に珍しいモデルをジェフは使用していたわけですが、インターネット上のヴィスタライト関連のサイトには全くジェフのことについて触れられていなのが残念ではあります(ジョン・ボーナムのことは大々的に取り上げられていますが......)。




戻る 進む