home Jeff Mania

  Music: David Paich, Bobby Kimball, Jeffrey Porcaro and Steve Porcaro

 ...今まで歌詞の意味なんて考えたことなかったよ、この曲も(笑) "英国人の目?"、"キングが王手をかけているのに"、"平気できみはビショップをやっつけたね"、こういう感覚って私には理解できないんですよね、残念ながら。でも、そういうのは分からなくても楽しめる曲です、ハイ。ジェフは8ビートでプレイ。間奏後の3コーラス目に入る前にジェフとしては珍しく長めのフィル・インを披露。

 思いっきりメタリックなギター・リフで構成されていますが、単なるハード・ロックで落ち着かないところがこのバンドの特徴なのかな。イントロのリフ・パードではDSD盤効果なのか、ルカサーの息づかいとも思える、弦の鳴りをミューティングするところまでハッキリと聞こえて、ナマメカシイぞぉ〜 ライブでも頻繁に演奏されていたことを考えると、ジェフのお気に入りだったのだろうか? だが個人的にはあまり好きではないんだな〜 これが。
 ジェフのハーフ・オープンで刻む8ビートが非常に美しく、カッコイイよく鳴り響きます。オマケにレッド・ツェペリンの "Black Dog" を彷彿させるようなリズムの取り方は、一瞬今が裏なのか、表なのかよく分らなくなるような錯覚状態に置かれてしまうわけだ。

 1曲目からそうだけど、とにかくタム類の音が近いですよね。こうマイクの間近で胴が鳴っているように聞こえてきます。シンバル類もいい感じで響いて聞こえてきますし。ただそれに反してバスドラが遠鳴りしているように聞こえてくるわけで...これがジェフの思惑なのかもしれませんが、もうちょっとすっきりしたバス・ドラムの音にしてくれたらもっと良かったのになと思いますね。






Intro A
 1曲目に引き続き、ギター・ソロから始まります。そのため、フィルは「間」の詰めてタムを利用したパターンを2度繰り返すことで、1曲目と変化をつけています。

Intro B
 ベース、キーボード、ギターがリフとそのバッキングで再びタッグを組んだ構成ですが、ドラムは今度はこのタッグに絡まず、4ビートを全面に出して(実際にはハイハットは8ビートで叩いてますが)、どっしりとタイムをキープするような感じに。高音域部が薄いので、ここでもハイハットはオープン気味にして音をしっかり響かせています。Aメロ部への導入はかなりシンプル。

Aメロ部
 基本的にはIntro Bと同じですが、繰り返し部にあたる9小節目以降(弱起なので厳密には8小節目最後から)は、フレーズの最初のリフにキメに合わせてシンバルを8ビートで入れています。バス・ドラムは、このキメ(計4音)の前半2打だけ合わせて、弱起リズムをサポートし、リズムの安定感を出しています。最後は徐々にハイハットの音を上げ、キメ部のシンバル連打をもう1度入れてやってBメロ部への盛り上がりを演出。ここのシンバル連打にはバス・ドラムも合わせています。Bメロの最初と合わせると結果的に6連打になります。

Bメロ部
 ここは厳密には2種類のフレーズで構成。最初のフレーズ(2小節)はバス・ドラムをベースとしっかり合わせてリズム変化を強調し、あとのフレーズ(2小節)はこれまでの雰囲気に近い感じに戻しています ... が!ハイハットはタイトに8ビートに刻んで、Aメロ部及びBメロ部最初のフレーズときっちり差をつけています。小間奏へのフィルでのシンバルの音がきれいで、音域的にかなり映えるのでちょっとどきっとします。

A'メロ部
 基本はAメロと同じ。最初を除いてシンバル連打は前半部でも入れてます。ちょっとどきっとするのが、この箇所の7小節目に入る1拍目のスネア。B'メロ部への繋ぎはスネアを8ビートのリズムでの連打。シンプルなフィルが多かったので、これだけでちょっとした高揚感を演出できてしまってます。

B'メロ部
 ここも基本的にはBメロ部と同じですが、English Eyes!という歌詞の繰り返しの前に1度タムをフラムで叩いてちょっと区切りをつけています。ここをCメロと位置づけするかどうか迷った所以です。ブレイク前のフィルもハイハットをオープンにして響かせる程度で実にシンプルですが、この「シンバル系」が次の間奏部の鍵なので、その前振りにはまさにうってつけ。

間奏Aa
 3拍分だけブレイクを入れることで、ちょっとプログレっぽい雰囲気を出してますが、このあと続く長い間奏自体もプログレ・テイスト。最初ベースだけだったのが、フレーズごとに徐々に楽器が増える構成のため、それらの音を活かすためにドラムはあくまでシンプル。ひたすらタイム・キープ ... という感じがしますが、実際にはこの淡々と叩くビートこそがこのプログレ・テイストの源とも言えるのではないかと思います。非常にタイトに入れたハイハットは、前半部でのハーフ・オープンのハイハットと完全に対比を成しており、あのハーフ・オープンが単に高音域のサポートではなく、この箇所の不可思議な雰囲気を演出するための前振りでもあったと気付かされます。しかも、ハイハットの音をタイトにした分、ギロで中音域から高音域の空いた部分をサポートし、音域を上げ過ぎず ... つまりプログレ・テイストを壊して明るくすることなしに (笑) ... エキゾチックな感じを出すことにも成功しています。ギロと時折入るハイハット・オープンの音色とのコンビネーションも素晴らしいと思います。

間奏Ab
 ギターが入るだけでなく、更に他の楽器が効果音のような不思議な音を入れてきます。時折入る高音部へのキーボードの音がギロの音域とうまく住み分けされています。ピアノのバッキング、ギター、すべての音がきっちりと聞こえるよう、ドラムの音を最小限にしているところが、いかにもジェフらしい感じがします。最後の繋ぎもハイハットをオープンにして響かせる程度。

間奏Ba/Bb
 再び曲の雰囲気が変わります。間奏Aに比べてややメローな感じになるこの箇所で、ジェフはシンバル系を巧みにパターン・音質・音域(叩くシンバルの高さが微妙に違う)・音の響かせる長さ・強さに変化をつけて入れています。こういう丁寧なシンバル・ワークもジェフ・ドラムの醍醐味。Bb部分から中音域に甘く入ってくるボーカルとのシンバルの相性も抜群。最後のキメ部付近ボビーのボーカルも少し入ってきて、ストリングス系シンセが高音部で響かせてきていますが、ここでのキメを敢えてシンバル・メインにして、余分なことはしていません。こういった効果音的なシンバル系のみを使ってタイムをキープしキメも合わせる構成にすることで、俄然次に入るスネアによるフィルが映えまくります。

drum fill
 短いソロ ... といってもよさそうな程のインパクトがあるこの箇所、これまで音数を抑え、この前の音域をシンバル系のみにしていた効果がふんだんに発揮されています。ロールを使い、更に強いスネア打ちも絡ませてしっかりダイナミクスを出し、不可思議ムードを一気に断ち切ります。スネアとそれよりも低音域のタムを使用し、さらに最後にスネアのフラムでしっかりアクセントをつけて締めていますが、これらが総て再びボーカルの高音が冴えるA''メロ部、つまり曲の最後の盛り上がりへの繋ぎのための最高の演出となっています。研ぎ澄まされた感覚と楽曲総てをどう演出するかを完全に計算した上での構成能力の凄まじさを感じずはいられません。

A''メロ部
 ここでまた11小節目に爆弾の1拍目スネア。A'メロよりもこの爆弾を遅くに持ってくることが、Codaへの前振りにもなっています。B''メロ部へのフィルはシンバル連打も絡めて、集大成的な感じにしています。

B/B''メロ部
 ハイハット・ワークが結構複雑でダイナミクスが効いてます。

Ending
 再び間奏Aと同じような雰囲気になる箇所。ドラムも同様な雰囲気でいきます。最後はハイハットをしっかりと8ビートで入れて、中音域で動くギター・ソロの音域をサポート。時折入れるウラ部でのオープン・ハイハットも、しっかりと次の小節ぎりぎりのところまで響かせています。

 このタイトさを出している影の主役はもちろんジェフのバス・ドラム。スライド奏法ばかりつい気が入ってしまいますが、タイトで余計な圧迫音がないのに、ドスっとお腹に響く感じで、かなり迫力もあります。タイトだとペタっという音に聞こえるし、大きい音だとボン!と空気の抜けたボールをぶつけられたような妙なインパクトを感じる場合が多いのですが、そういう感じがないバス・ドラムって意外と少ないのではないでしょうか。
Intro A(4) -
Intro B(4) -
Aメロ (16) -
Bメロ (8) -
[小間奏 (4)] -
A'メロ (16) -
B'メロ (12) -
[break:3/4小節] -
[間奏 Aa(8)-Ab(15 1/2)] -
[間奏 Ba(6)-Bb(8)] -
[drum fill(2)] -
A''メロ (16) -
Bメロ (8) -
B''メロ (12) -
Ending A (7) -
Ending Bメロ (guitar solo...fade out)
戻る 進む