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 アルバムに収録された楽曲ですが、"After The Love Is Gone" と "She Waits For Me" の2曲を除いて、ジェイ・グレイドンとデヴィッド・フォスターの二人が、アリス・クーパーが貸家にしていたビーチ・ハウスに閉じ篭り、たったの4日間で曲のアウトラインを仕上げたそうです。ただし、歌詞の方はそう簡単には行かなかったようですが ... ジェイ、
 「今回のレコーディングでは曲ごとに違う作詞家を使ったんだ。スティーヴン・キプナー、アリー・ウィリス、ビル・チャンプリン、アイラ・イングバー、それに昔からのソング・ライティングのパートナーのハリー・ガーフィールド。1曲だけトム・ケリーも使ったね。
 デヴィッドも僕も詞のアウトラインになるものを書いたし、中には使ったのもあった。作詞家も沢山オーディションした。1曲ごとにいろんな作詞家に2つ、3つずつ詞を書いてもらって、その中で最高ものをピック・アップしたんだ。このアルバムの中の詞はどれを取っても抜群だと思うよ」。

 ということらしいのですが、英語がネイティブな方にはどれも素晴らしい歌詞なのかもしれませんが、残念ながらそれが苦手な私には難解なものもあります。こればっかりは私が永遠に超えられない壁なんだろうな、悔しいですよね。ネイティブな方が感じているように、私も詩の持つ本当の意味を感じながらこれらの曲を楽しめたらいいのですが。ただ、逆に意味が良く分からないと、それなりにいろいろと想像力が逞しくなりますから、ああだこうだと頭の中で捻くり回して想像しながら聴くのも、また違った楽しみ方なのかもしれません(笑)


(注5) Shankman De Blasio
 各曲のコンポーザーはそれぞれ独自の契約を結んでいるのは言うまでもありませんが、歌詞カードの片隅に記された"SDB"(注5)というロゴは何なんでしょうね。ネットで検索してみるとロサンゼルスにある音楽出版社のようですが。グレ・フォスの二人はそれぞれの契約はGarden Rake Music 、Foster Frees Music となっていますし。それとも "エアプレイ" というグループ単位の契約なのかな? プロの音楽ライターさんならすぐにこういうことは分かるのでしょうが...すんません。

 では、レコーディングについてです、ジェイ、
 「プロデュースは殆んど僕が一人でやったんだ。デヴィッドの意見が欲しい時には彼に電話したけどね。デヴィッドがやったのはコーラス、ホーン・アレンジ、キーボード。ギターの方は殆ど僕だし、ミックスも全部僕、ヴォーカルも全部僕とトミー。だから大部分は僕の労力によるものなんだ。だって僕のスタジオでやったんだもの。実際、デヴィッドと僕が一緒にいたことはあんまりないんだ。だけど2人でやったことはやった。デヴィッドと僕は親友だし、アルバムを一緒にやる時なんかはいいものが出来るよ」。

 一方のデヴィッド・フォスターのコメントも紹介しておきましょう、
 「アルバムの大半は実際はジェイ1人でやったんだ。昼過ぎにべッドからむっくり起きてきてヴォーカルをやったりするんだぜ、彼は。だから、本当はヴォーカル・トラックをやる時は僕がいない方がいいんだよ。僕も1人だけでオーバーダブをやったこともあったね。でも、僕よりも彼の方が2倍は時間を掛けたはずだよ」。とまぁ、あっさりとしたコメントでございました。

 え〜と、この二人は本当にいいコンビと言って良いのでしょうか(笑) こういう物言いは "如何にもジェイ・グレイドン" という気がしてますが。"殆んどは俺のやった仕事で、少しはデヴィッドの力も借りたよ" って言ってますよね(^_^; 私の感覚からするとこういう自信満々の話し方はあまり好きではないのですが、アメリカの方にとってはコレが普通なのでしょうか、ねぇ? もっともデヴィッド・フォスターも初対面の頃はこういうジェイの態度に対しては不遜に感じたわけで、ジェイのことを "Rude" って表現してますね。この "Rude" っていう単語はどの程度に "いやなヤツ" 加減を表現するのに使うかってことですが。冗談ぽく "イヤナ人" って感じなのか、それとも "あいつマジムカつく" って感じで使うのか、その意味合いによっちゃ大問題ですが、でも本気でムカついてたら一緒に仕事なんてしないだろうし、本当にいいコンビなのかな。


(注5)Shankman De Blasio Melina
740 North La Brea Avenue
Los Angeles, CA 90038-3339
Music Publishers,
Los Angeles, California (CA)
http://www.sdmmusic.com/
(写真) 大暴走し過ぎよ〜
 というわけで、ジェイの発言を信じるならば、というか、まぁ、そういうことなんでしょうが、殆どのスタジオ・ワークはジェイが一人で行ったわけなんですね。勿論アルバムのコンセプトとかは二人で話し合って決めてはいるのでしょうし、トータルな意味合いでは二人の作品ではあるのには間違いのないことですが、ただし超多忙な日々を送っていたこの二人ですから、なかなか二人が揃ってまとまった時間をこのプロジェクトの為に作るというのも至難の技であったと想像が出来ます。例えばこの時期の二人はマンハッタン・トランスファー、マーク・ショーダン、アラン・ソレンティ、アル・ジャロウ、AWB、ボズ・スキャッグス、ホール&オーツ、アース・ウインド&ファイア等のプロデュースをやっていたようですから、それらを考えると、こういうやり方しか出来なかったのかもしれませんし、案外デヴィッドの方でジェイに丸投げしちゃったりしてね(笑)

 そんなわけですから、すっかりアルバムの主導権を握ったジェイが大暴走〜 かなりの時間を割いたであろう過剰なまでのギターのオーバータブなどを聞くと、ジェイはやりたいことをやったんだろうな〜 と思うことしきり。キーボード・パートなどに対しても殆どギターとのユニゾンになっているっしょ...。聞いててちょっと鬱陶しく感じる時もありますが、でもこれがあるとないとではサウンド像が全然違ったものになってしまうでしょうし。これがジェイのギタースタイルなんでありますから。
 ある程度のベイシック・トラックこそ二人が揃って録音したわけでしょうが、その後は、マッド・サイエンティストの如くジェイが好き放題に音を盛り込んで行く姿を想像してしまうのは私だけでしょうか(笑) 実際にはそんな極端に独善的なことはしてないでしょうが、二人の証言から想像すると、そんなイメージがついつい湧き上がって来てしまいます。
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