home Jeff Mania
 「正直、アンタらやリ過ぎ! っつ〜か、もうギリギリのところでオッケ〜」という位、そのあまりの完璧さからAORのバイブルと賞賛され続けている本アルバムですが、その一方で、極度の作り込み具合への反動なのか "これはアウト" って感じている人もいるでしょうし、"あんなの単なる産業ロックじゃん" っていう否定的な意見も当然多数あることでしょう。しかし、そのサウンドが '80年代初頭の音楽業界においてかなりの影響をもたらしたことは言うまでも無いはずですし、一つの様式美的なサウンドを完成させたという面からもこのアルバムは大いに賞賛され、語られる価値のあるものだと思います。もしまだこのアルバムを聞いたことが無いという方、このサイトを訪れて下さる方の中で、そういう方はまずいらっしゃらないと思いますが、ぜひこの機会に聞いてみて下さい。私にとってはもう完璧と言いましょうか、言うこと無しと言いましょうか、この25年の間グぅの音も出ない程にぶっ飛ばされ続けて来たわけで、当然今も私の中では燦・燦と光りを放ち続けているアルバムの一枚なのです。というわけで、既にお気づきとは思いますが、このコラムでは否定的な意見はあえて無視して「このアルバムは凄い」と大絶賛することのみに専念して書かせて頂きますね (^_^;

 私は、ほぼリアルタイム世代で、当時リリースされてから比較的に直ぐ手に入れて聞き始めたと記憶してます。オリジナル盤のライナー・ノーツによれば、
 「アメリカから到着して早々にレコード屋の店先に並んだとたんにあっという間に姿を消し、続いての第2便、第3便もたちまちのうちに売り切れるという、輸入盤としては近頃には珍しい程の記録を作ってきたそうな」 とあります。これがリリースされた1980年頃って、今のインターネット全盛の世の中とは違い、洋楽に関する情報といえば音楽雑誌とかラジオから得られる位で、しかもある程度のタイム・ラグを挟みながらのものでしたよね。そういう状況の中でも、輸入盤が結構な売上を示したということは、とりわけデヴィッド・フォスター、ジェイ・グレイドンともなると強力なネーム・バリューとなり、日本盤が出る前から購買意欲を引き立てるに十分なものがあったっということなのでしょうが、この頃の私と言えば、ちょっと前まではディープ・パープルを神と崇めていた位ですから、AORとかフュージョンといったちょっと大人向けの音楽はまだまだ未知の領域のものであり、やっと少しばかり聞きかじり始めた頃なんです。だからアレンジャーとかプロデューサーが誰かなんてことも、あんまり気にしてなかっただろうなぁ〜「誰がギターで、誰某がドラムを叩いているのか」、何てことに少し興味を持ち始めた頃で、スティーブ・ルカサーとリッチー・ジトーの区別も出来てなかったと思います。そんな状態だったでしょうから、エアプレイも発売前からその存在を知る由もなかったわけです。多分宣伝とか雑誌等のレコード・レビューで見聞きして、これは手に入れなきゃイカンと思ったんでしょうね。それが何月頃だったのか? その記憶も全く残っていないのですが、ただこの年の夏頃のヤングギター誌に "Nothin' You Can Do About It" のギター譜が掲載されてましたので、そう考えると春先位だったのかな〜


 とにかく購入後、暫くは他のモノは全て放り出してこればっかり聞いてた記憶だけはあります。真夏のクソ暑い ... アレって夏休みだったのか? がんがんスピーカーを鳴らして聞いてたような。学校でも授業中に先生の目を盗んではノートに曲名とか歌詞とかを意味なく書きなぐってました。

 昨今の読みものでは、このアルバムが当時の日本の音楽業界に与えた影響についても書かれてたりしてますが、当時の私はとてもとてもそんなことまで考えが回ってなかったです、というか殆ど邦楽とかはあまり聞いてなかったし。何か知らんけど、異常な程に "サンセット・サウンド・スタジオ" という言葉というか字面に熱を入れてたんだ時代なんだわ。

 ちなみにオリジナルのレコード盤の帯では、
 「エアプレイとは、当代きっての売れっ子プロデューサー、コンポーザー、セッション・マンであるデヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンに、ヴォーカルのトミー・ファンダーバークが加わったバンドである」、と豪語しておりますので、私の知識を遥かに超えた部分で既に大注目されていた二人だったわけですね。多分私はこの二人についても全然知識を持ってなかったんじゃないかな〜 とにかくあの頃の私にとっては見るもの、聞くものの全てが新しくって、いろいろなモノ、別に音楽だけに特定するわけじゃなくて、それらがどんどん体内に流入して来てたといった感じで、非常に刺激的な毎日を送っていました。そんな中でもとりわけこのエアプレイは別格でしたよ。

 それとこの帯の部分のコメントですが、「*2ベース、*2ドラムス、*2シンセサイザー、*5ブラス等ユニークな編成!!」とありますが、エアプレイを完全なパーマネントなグループとして捕らえて、その構成がユニークって意味なんでしょうか(^_^; 2ドラムスはともかく、2ベースっていうのは誰と誰のこと? もしかして "Bix" のシンセ・ベースのこと? 時代柄情報が錯綜してたのかもしれませんが、何となく笑えますね。

戻る 進む