home Historical View
幻に終わったライブ・アルバム
 このライブ・アルバムは『TOTO Live In Japan - The Searching Of The Hydra』(注1)というタイトルで発売される予定であり、当初はその年の5月頃の発売を予定されていました(と、思います)。んが、発売間際になると一時発売延期のアナウンスがあり、その後は再三再四に渡り発売延期を繰り返した挙句に、秋口頃になると遂に発売が中止となってしまったのです。

 理由はいろいろ取り沙汰されましたが、結局はメンバーが満足するだけのクォリティに仕上げられなかったということなのでしょう。これはあくまで想像の域を超える話しではありませんが、そう考えるとやはり13日の渋谷公会堂での録音だったのでしょうか?(注2) もしサンプラザ・ホールや、12日の厚生年金会館大ホール等と合わせて複数回以上の録音がなされていたのなら、それらの中からベストな選曲でいくらでもリリースが出来たと思われます。ほんと、こればっかりは想像力を逞しくするしかないわけですが。

「単一公演での録音であり」、また
「パンチ・イン等での修正も不可能なくらいに致命的であると "メンバーが考える" 大きなミスがあった」、
「演奏クォリティ全体に関わる問題等があった」

 といったことが考えられるのではないでしょうか。あれだけ大々的に宣伝した上で発売が中止となったのには、それだけ大きな理由があったかと思われます。

 そして、これまた深読みの、深読みになりますが(^^; 発売中止に至るまでにはTOTO側とレコード会社のCBSソニーとの間でかなりの "すったもんだ" があったのは想像し難くないですよね。ソニーとしてもアルバム『ハイドラ』のセールスが好調だったわけで、"熱い楔は直ぐに打て〜" と言わんばかりに売れるタマが目の前にぶら下がっているのをミスミス「はいそうですか」と簡単に引き下がれるわけもなく、最終的には "日本のみのリリースでも" という強引な手段をも考えていたと思います。実際あの頃はそんなアルバムも結構ありました。しかし、結局その幻のアルバムはこの世に出ることなく、お蔵入りになったわけです。
 あ〜、それにしてもこの年の夏の間はこのアルバムのリリースを心待ちにしていたわけで、この中止は本当に痛かったんですよ! 正規版となるはずであった音源をぜひとも聴いてみたかったです。今からでも遅くないですから、ソニーさん...リリースしてもらえませんか(笑) 悔やまれますね、ホントに。

 ここで、ライブアルバムの発売に関して新たな情報が入手できましたので加筆しておきます。前頁で判明した通りにライブ・アルバムは13日の渋谷公会堂でのものであったわけですが、最近になり入手したジェフのインタビュー記事の中で、何故ライブ・アルバムの発売が延期になったのか語っていますので引用させていただきます。

(注1) 幻に終わった『Live In Japan』のアルバムジャケット
 これがリリース版にジャケットになったかどうかわ分かりませんが、すくなともある時点まではこれが予定されていたものと思われます。
(注2)13日の渋谷公会堂での録音だったのでしょうか?
13日の録音でした、こちらを参照して下さい ==>

そういえば、東京でのライヴ・アルバムを出す予定が延期になっていますが、どうしてですか?
ジェフ:うん、まず問題はネ、デジタルで録音したことにあるんだ。それとたった2回のコンサートしか録音しなかったのも問題で、後でテープを聴いたら、ヴォーカルがフラット気味で音質も悪かった。他のことは良かったんだが、この問題が延期の原因さ。(ミュージック・ライフ誌より引用)


 とジェフは語っていますが、これが事の眞相なのでしょうか? ジェフは "ヴォーカルがフラット気味で音質も悪かった" と話していますが、ベーシックな演奏ならともかく、ヴォーカルの差替えとかなら何とでもなったとも思えるのですが。ヴォーカルの差替えは他のアーティストでも結構行ってますよね。それとも当時のデジタル録音ではそういった編集が技術的に難しかったのか?

 それと録音も2回試みられたことになっていますね。そのうちの1回は13日であることが既に判明しています。すると残る一日はという疑問が再び浮上してきます。もう一日分は12日? 私的には9日〜11日にかけての中野サンプラザ・ホールでというのは考えにくいんですよね。

 発売予定であった音源を、13日のフル収録したブート音源等と比較してみると、まるで同一の演奏であることが分かります。ということは、別日に録音された音源は収録はされる予定はなかった、穿った見方をするならば本当に2回分の録音をしたのか? 私的には、ジェフの発言はテレビ収録と合わせて2回の録音を行ったと解釈したいな〜、ここは。

 さて、今一度冷静になってこのライブ録音について考えてみたいのですが、そもそもジェフ達が本気でライブ・レコーディングをする気があったのなら、9日〜11日の中野サンプラザ・ホールでまとめて録音していたと思うんですよね。それで予備として13日の録音をしたとか。ただ現在の情報だけを考えるとそうではなくて13日がメインに録音されたっぽいですよね。

 でぇ〜、すっごい想像なんですが、このライブの企画自体は日本のソニーが強引に企画して実行したんじゃないでしょうか? "PCデジタル録音ライブ" って煽る辺りに企業戦略みたいなものをプンプンと感じてしまうのですよ。

 そして録音をすることはしたわけですが、日本側でさっさとミックスを完成させてしまい、それをあたかも直ぐにでも販売されるかのように振舞ってはいましたが、実際にはジェフ達からのゴーサインはまだ貰っていなかった。かなりソニーが先走って行動していたのでないでしょうか。何しろアルバムの広告は既に打っていたし、私は予約までしてたんだぞぉ〜(怒) それになんとギター系の雑誌には "I'll Supply The Love" のライブ・テイクのTab譜まで掲載されてましたもんね(^^;

 それともうひとつ、果たしてこの音源がワールド・ワイドにリリースできるだけのクオリティであったのだろうか?ここまで持ち上げておいて、今更で申し訳ないのですが(笑) 確かにバックの演奏力は素晴らしい。いや、とんでもなく素晴らしいです。ただし、ヴォーカルが... やっぱりこのまま出すには辛いかな〜 いや、本当にTOTOが好きだというファンには問題ないと思いますが、当然一般に消費者にも売るもんですから。そう考えるとこれで出すのはちょっとという気になってしまいます、私的には。

 何だか、こう考えてくると、もともと日本だけのリリースだったのではなかろうかとさえ思えてきてしまうんです。あの状態で本国でリリースできるかな〜と。そう考えると発売があっさりと中止になってしまったのも理解できるような。それともこう考えるのはあまりに悲観的に過ぎますか? 事の眞相などは分かるはずもないのですが...はぁ〜 もう一回聴いちゃおっと。

戻る 進む