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ロス・ガーフィールドの追想録

私の人生に大きな影響を与え続けた存在


 ジェフと一緒に仕事をするようになったのは確か1984年頃だったと思うが、実は私はその前から彼の熱狂的なファンの一人だった。仕事をするきっかけとなったのは私が以前一緒に仕事をしたことのあったジム・ケルトナーを通してジェフが声を掛けて来たからだ。

 彼はある時「一度の君の調整したドラムを試奏したいから、君のドラムの一つを持ってきてくれないか」と電話をしてきた。偶然にも私がオーダーしていた、仕上がりを心待ちにしていた22 × 18インチのバス・ドラムが出来上がってきたところだった。そのバス・ドラムをスタジオで試してみるとその完成度に私は大変満足した。ジェフとの約束の日に私はそのドラムを持ってスタジオに朝の7時に入り、彼の叩く音を思い浮かべながら、満足できるコンディションになる迄かなりの慎重に時間をかけて調整した。ジェフは約束の時間Jeff and Rossであった9時より15分前にやって来た。彼はいつも定刻前か、時間通りのぴったり現れた。

 2分間の試打の後、「完璧だ」と彼は言った。彼にとって音の善し悪しを判断するにはそれ以上の時間は必要なかった。まさしくこれがジェフだ。彼は鋭敏な感性を持ち、素早い判断をすることができた。彼は生きていく上でも、彼の望む方向性をもはっきり見極めていた。彼はいわゆる "最初の演奏が一番いい" というタイプのミュージシャンだった。

 この出会いをきっかけに私達は8年以上の間、数え切れない程のレコーディングを一緒に行って来た。ジェフは私にとって唯の顧客の一人ではなく、私の人生に大きな影響を与え続けた存在だった。



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