home Jeff Mania
運命の出会い、TOTOリハーサル潜入記
そして、ジェフの登場!


 では、本題に突入! Y氏は星野楽器の方とお茶をしに出て行きました。星野楽器とはご存じようにイバニーズのことで、スティーブ・ルカサーとのエンドース契約の為に来ていました。残された私が会場に一人でいるとステージの上がザワザワして来たので会場席の一番前に移動しました。すると……申し訳ありませんがこの頃の私はTOTOのメンバーの顔もろくに分からなかったのですが、何となく見たことがあるかな〜と思う人がやって来ました。
 最初にデビット・ペイチ、それに続いてマイク・ポーカロがステージに入って来たのです。マイクはそのままベース・アンプの方へ行きましたが、デビットは私の前を通り、その通り際に「Hi!」と、いかにも陽気なアメリカ人という感じで通り過ぎて行きました。で、待つ事???、遂に現れました!!??……とは言うものの差ほど感激もないまま“あ〜、あれがジェフ・ポーカロなのか〜”と思い見てました。

 先ずドラム・セットに座り何やら右手側の13”のT.T.かライド・シンバルか、その辺りをしきりに気にして、クルーに細かく指示を出してました。“なるほど、噂通りの神経質そうな人だな〜“と思いましたが、その時おもむろにジェフが8ビートを叩き出しました。ところが何の変哲もない極普通のビートがもの凄くカッコイイのです。今なら“ジェフのグルーヴだな〜”と思って納得も出来ますが当時の私では“なんでこんなビートがカッコ良く聞こえるんだろう? なんで?”。どう言ったらこの不思議な感覚が伝わるのか、まるでドラム・セットの周りがキラキラと輝いているかのような、そしてその心地良さで自然と体が動き出してしまう、そんな感じなのです。とにかくそれはそれは『目から鱗』どころの騒ぎではありませんでした。そこから、ものの10秒もかからない間に私は『Jeff’s World』に吸い込まれていったのです。その後はもう頭の芯がシビレたみたいにひたすらジェフを見てました。

 私がぼ〜っとなっていた所へY氏が戻って来ました。で、ジェフもドラム・セットを離れて、例の少し後ろに置いておいたペダルとスネアー・スタンドを手に取って何やらネジを締めたり、ペダルを動かしたり、スタンドに少し体重をかけて乗ってみたりと……それを見てすかさずY氏がジェフの所へ……。
何やら話しながらステージを下りてこちらに向かって来ました。私は英語が出来ませんが、ジェフが話していることはなんとなく分りました。分らないところはY氏が通訳してくれましたし。

Y氏:「ジェフ、私の友達です。」
ジェフ:「Hi, nice to meet you」
と、言って手を差し延べてくれました。
私:「Hi」
と答えて(それがが精一杯でした。)握手をしました。“え? 意外と柔らかい女性のような手だな、背もあまり高くないし”と思いました。

で、この時何を話したかと言いますと、大まかにではありますが
1. パールでドラム・ラックを作って販売したい。
2. ジェフ・モデルのスティックを作って販売したい。
の2点についてのようでした。

▼最初はドラム・ラックの話です。
 後日インタビューでジェフが語ったとされる“ドラム・ラックを繋ぐネジを作ってくれたら幾らでも出すよ”という記事があったと思いますが、それはこの時に話していました。これは後日談なのですが、Y氏は「ジェフが是非パールの千葉工場が見学したいというんで武道館でのライブの後、厳しいスケジュールの中を縫って千葉迄来てもらったんだ。それでその時にリハの会場でジェフが話してたドラム・ラックのネジをその場で作って上げたら物凄く感動してくれたんだよ」と話してくれました。

▼次にスティックの話です。
 その時ジェフは2種類のスティックを持ってました。Y氏によると、それらはロサンゼルスのどこかのドラム工房でまとめて作ってるもらしいとの事。一つはチップが丸の物。もう片方は三角までもいかないような楕円形のものでした。そしてジェフは両方をミックスしたようなスティックを提案してたみたいです。

 話は少し反れますが、私はジョン・レノンのファンでもあり、ジョンのと似たような黄色の縁のメガネをかけていました。ジェフも黄色ではないけれど透明の縁の私のと同じデサインのものをかけてました。まあ、それが原因かどうかは分かりませんが、やたらジェフとは目が合うんです。ジェフのやさしさだったのかも知れませんが、とにかく良くこちらを向いて話してくれたのでした。

 そして話も一段落したところで私はY氏に「ジェフに私の服の背中にサインをしてもらえないか聞いて下さい」とお願いしました。そして、この後またジェフのやさしさに触れました。サインをOKしてくれたジェフにここぞとばかりポケットに忍ばせておいたマジックを取り出して渡しました。ジェフはすぐに(私自身の)左肩の方にマジックを付けました。確かにマジックの先端を感じたのですが何故かジェフは一度マジックを引きました。で、何やらY氏に話しているのです。私は“こんなところになんてサインできない”とジェフが言ったのかな〜と思い、少しドキッとしたのですが、それはY氏によると
「ジェフが“君のかっこいいシャツが僕のサインで汚れるけど本当に良いの?”て言ってるけどどうする?」とのことでした。
私は、もう、うれしくて舞い上がりました。シャツを誉められるだけでも感動ものですが、その上サインで汚れるなどと恐れ多くも賢くも、今日始めて会ったこんな私にそんな言葉を、、、、
そして、Y氏に
「じゃあ、ジェフに背中一杯にとにか大きく書いてください。」と答えました。
そして、ジェフは
「AHAHAHA! OK! OK!」と言って、笑いながら書いてくれました。

「Jeffrey Porcaro」……何故かJeffreyと書いてます、 
そしてあの「ターン・バックのTOTOをもじった顔」
それと「最初にジェフがペン先を置いた左肩の小さな点」
どれも大事な大事な宝物です。


 それと……
「ジェフとの握手……」。
この目で見ることが出来ないけれど大きな宝物です。
後々TOTOのコピーをする時に、あの早い片手の16分音符、シャッフル、ホールド・ザ・ラインなどの3連符、少し跳ねたチッチキ・チッチキetc……など、グルーヴ、フィル・イン、etc……。どれを取っても難しいものばかりですが、いつも自分に“ジェフも同じ人間なんだし、とにかく私にはジェフとの握手の時もらったパワーが右手から体の中を流れてるじゃないか”と言い聞かせることが出来ます。こんなチャンスが自分にあったなんて、今でも信じられません。

▼本文中の間抜けな注釈は全てJeff's World管理人によるものであり、原稿を頂いたよっさん氏のコメントではありませんので悪しからず。

戻る 進む