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運命の出会い、TOTOリハーサル潜入記
いよいよジェフの登場?


 と、その前にもったいぶるわけではないのですがドラム・セットについてもう少し詳しく書いてみようと思います。きっとJeff's Worldに来られる方はこの事に一番興味があると思いますので。

 何しろ18年も前の事なので一度に記憶が蘇らないので順不同になったりしてる点もあるかと思いますが、決して嘘を書いおりませんので御安心をして下さい。私は幸運にもセッティングの段階から見ていましたのでとりあえずそこから紐解いてみます。

 最初は今でこそ当たり前となりましたが例の【ドラム・ラック】からです。何しろ初めて見る代物でした! 後に市販となったものはアルミ社製のものでしたが、この時ジェフが使用したラックは何んと鉄製で(注1)、それらは見た目にも1本1本がとても重そうでした。ラックが組み上がると、何んとそのラックの中にマイク用のケーブルを通していました。当時はラック自体がまだ手作りであった為タム・ホルダーやシンバル・ホルダー等は固定式でした、ですからホルダーの取り付けられたすぐ横にマイクのキャノン・コネクター(マイク用の3芯シールド)が出るように穴が空けられておりました。そしてラックの確か座って右手側の一番後ろが、まとめられたマルチ・ケーブルのソケットになっていました。
 ラックが組み上がると次は【バス・ドラム】ですが、ヘッドはその時点でポールが張っていました。で、その張り方ですが、最初に打面のヘッドをゆるく張り、丁度中心の辺りを押しながら音程ではなくテンションを均一にするように張ってました。そして次にミュートを入れました。ミュートは一番下に座布団ぐらいのクッションを、その上に片手で持てない位の砂袋を2つ。そして最後にシーツのようなもを被せていました。実はこのバス・ドラムのサイズにも秘密がありました!! ジェフは22”×18”のものを使用していたのですが、当時のパールには22”×16”までのものしかありませんでした、理由は単純でパールには22”×18”のサイズを圧縮加熱する釜が無かったからです。ですからジェフのバス・ドラムは仕方なく22”×9”のサイズのものを二つ繋いで作製されました。確かに良く見ると真中に繋ぎ目がありました。

 それとドラムの色ですが、ジェフがパールの宣伝でドラム・セットと一緒に写っている有名なポスターがありましたが、この日もあのワイン・レッド色で仕上げはラッカー・フィニッシュのものでした。当時まだあまりラッカー・フィニッシュというのに馴染みがなかったように思いますが、特にジェフの為に用意されたものは極初期の頃の色合いのようで、もの凄く色が濃く深みがありました。Perl_Jeff私も後に……その年の11月頃だったと思いますが……自分のドラム・セットを買うことになり、ヤマハにしようかパールにしようか散々迷ったあげく、期待通りパールにしたのでした。勿論サイズ、シェル、フィニッシュ共に当時のジェフと同じ仕様にしました。ただ手元に届いた実際のセットはあの日リハーサル会場で見たジェフのセットとは随分と違い、ワインレッドの色味が薄く、深みのない色でしたが。

 続いてはこれまた当時としては非常に珍しい【RIMS】です。ジェフは一貫してRIMSを使い続けていましたが。それを使用する事でT.T.にそのホルダー用の穴を空けない為か、空気抜きの用の穴を大きめにしてありました、そして微妙にその位置をも変えるという手の込んだことをしていました。それと【タム・ホルダー、ハイ・ハット・スタンド、ドラム・スタンド等】はラディック社製でしたね(シンバル・スタンドは不明)。タム・ホルダー類はRIMSが今ほど何処のメーカーでもOKではなかったので仕方なくの選択のようでしたが……。ハイ・ハット・スタンドに関しては“使い慣れたものを”みたいでしたね。後ひとつ非常に驚いたことがありました。それはセットの横に大きなツアー・ケースが置いてあったのですが、何とそれはスネアーのケースでした。実際に組み上げられていたセットにはジェイミンスン特製のスネアーがセットされていましたが、そのケースには他にも5〜6台は入ってました。記憶ではヤマハ社製のタバコ・サンバーストのような14”×5”位のウッド。あの有名なスリンガーランド社製の14”×6.5”のラジオキング。ラディック社製の14”×6.5”のスチール製のもの、多分スープラフォニック(注2)だと思います。後のものは一瞬だったのではっきりとは分りませんでした。勿論【シンバル】もパイステ社製、ジルジャン社製ともサイズをいろいろ持っているみたいでした。ドラムのメンテナンス用の部品も引き出しの多く付いたケースにきれいに区分けしてありました。

 こうして今思い起こしてみるとジェフのセットは最先端を行くドラム・セットであり、ある意味ではもの凄くモダンなものだったのではないでしょうか。

▼本文中の間抜けな注釈は全てJeff's World管理人によるものであり、原稿を頂いたよっさん氏のコメントではありませんので悪しからず。

(注1)鉄製のラック
それでも『Hydra』ツアー当時のものと比べるとかなり小奇麗になっていましたね。

(注2)スープラフォニック
Jeff's World管理人はドラム素人なので"スープラフォニック"を知りませんでした。以下やっさん氏の解説。「ラディック社製のスネアーのモデル名です。1970年代のロックには欠かせないスネアーです。ちなみにイアン・ペイス、ジョン・ボーナム等も使用していた、いわゆる名器の一つですよ」。

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