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スリーブ

TOTO
Hydra

Produced by: TOTO, Tom Knox
Label: CBS SONY INC / COLUMBIA
Release: November 1979
Records: 28DP 5037
Records: FC36229 (U.S.Promotion)
CD: 30AP 1957

1

Side-A
1. Hydra (TOTO)
2. St. George And The Dragon (David Paich)
3. 99 (David Paich)
4. Lorraine (David Paich)

Side-B
1. All Us Boys (David Paich)
2. Mama (David Paich, Bobby Kimball)
3. White Sister (David Paich, Bobby Kimball)
4. A Secret Love (David Paich, Bobby Kimball, Steve Porcaro)

Engineered and Mixed by : Tom Knox
Recorded at : Sunset Sound, Los Angeles, California

TOTO Personnel :
David Hungate: Bass
Bobby Kimball: Vocals
Steve Lukather: Guitars, Vocals
David Paich: Keyboards, Vocals
Jeffrey Porcaro: Drums, Percussion
Steve Porcaro: Keyboards, Vocals


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   RKKYO


2006.08.05


all us boysの間奏コーラスの途中、
”ドッタッタコドトタコトタコトタッ”
がたまらず何度も練習したものです。
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   孔雀


2004.08.29


TOTOと出会ったアルバム

Hydraは私がTOTOと出会った最初のアルバムです。学生時代に音楽部に入部した際、先輩がPAのサウンドチェックのためにしょっちゅうHydraのテープをかけていました。
これを聴いたのがきっかけでE.ギターを始めました。今はドラムのほうに興味が移ってしまいましたが。。。。

以前、デヴィッド・ハンゲイトのインタビュー記事で彼が語っていましたが、"All Us Boys"のリズムギターはハンゲイトが弾いているそうです。(全部かどうかは?ですけど。)彼曰く、そのことはあまり言っていないそうで、その理由は、「だってスティーブ・ルカサーみたいなギタリストがいるバンドでギターを弾いているなんて大きな声で言うことじゃないだろ?」......のようなことを言っていました。
確かにクレジットにもハンゲイトの担当パートはBass,Guiterとありますね!
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   もーやん


2004.08.06


 これ聴くと、なぜか涼しくなりませんか?

あ、それだけじゃないですけど、好きな理由は。

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   Jeff's World


2002.08.05


 「今度のアルバムがTOTOのファースト・デビューと言えるだろう。つまり、今度のアルバムこそが、よりTOTOの音楽的だと言えるんだ。そう、日本の人達に伝えてくれないか、あの『宇宙の騎士』のことは忘れて、今度のアルバムこそがTOTOのファーストです、って」.....とはジェフが音楽評論家、湯川れい子氏のインタビューで洩らした言葉です(*注1)。ちょっと聞くとショッキングな発言にも聞こえますが、これは欧米人特有のハッタリであり、裏を代えせばそれだけ最新作に対するジェフの自信の表れなんでしょう。

 このアルバムでは『宇宙の騎士』でもその片鱗を垣間見せていたプログレッシブさを一歩進めた、よりアグレッシブなサウンド指向となり、前作からTOTOというバンドがいかに進歩し、より結束力が高まったかを十分にアピールするという点では大成功しています。しかし、その一方ではアルバム全体を覆う重苦しい雰囲気はジャケットのイメージとも重なり、聞き手は非常にブルーな気分にさせられがちです。このサウンド作りをどう解釈するかで、アルバムに対する価値観が決まってくると思います。少なくても日本においては新たなTOTOサウンドを確立したとして大いに支持を受けることとなります。が、前述のようにブルーなイメージが災いしたのか、本国アメリカでは思ったように売り上げが伸びずに、米ビルボード誌においてアルバム最高位37、シングルで発売された"99"が26位と、予想以上に苦戦を強いられました。残念ながら、後年のジェフも"アレ"は日本以外では評価されずに、"商業的"には失敗作であった"などと回顧していたのは残念なことです。

 テキストを書くにあたり、あらたまってこのアルバムを聴くのも何だか妙な気もするのですが.....、勿論私にとっては今も昔も名作であり続けていることには変わりないのですが、冷静に考えると何か一つのめり込めなかったアルバムでもあります。私にとっては"All Us Boys"がジェフ道開眼のきっかけともなった思い出深いモノでもあるのですが、そもそもこのアルバムは前作の『宇宙の騎士』がオーヴァー・プロデュースとなってしまったことを反省し、ライブ感覚を意識して制作がなされたものだと思うのですが、私にとっはそれがかえって仇となってしまったようです。
 というのは、アルバムのリリースと同時に彼らは日本にやって来たわけですが、皆さんも良〜くご存じのようにそこで彼らはとんでもないライブやらかしてくれたわけです! まだウブであった私(笑)は結局この来日公演は見逃してしまったわけですが、後日そのライブの様子はメディアを通じて私の目や耳に入ることに.....その先はご想像の通りで。以来、私はジェフ病に取り付かれているのですが......。 回りくどい言い回しをしていますが、要するに"Hydra"、"Mama"、"All Us Boys"、"White Sister"、"99"等を聞くということは、私にとってはライブ・バージョンで聞くことを意味し、このアルバムを聞くという慣例がなかったわけなのです。ですから、アルバムの出来云々というよりもライブでの強烈な印象が私を病に追い込んでいたわけで、残念ながらこのアルバムを聞くという頻度はかなり低くかったかわけです。
 しかし! 久々に繰り返しアルバムを通して聞き込んでみたのですが......やっぱりこちらのテイクも負けず劣らず素晴らしいですね(笑) もともと楽曲群は素晴らしいモノばかりだったわけですし、それにライブでは味わえない緻密な面も多々ありますし。というわけで、“あれ”は若気の至りということでお許し下さい。

(A-1) Hydra
 ジェフ「ツェッペリン風なのがあるけど、音楽的にはポリリズムを感じさせるような変ったフレーズ、コード・チェンジがあるよ。シンプルっていう点からすると、“カシミール”タイプだけど、リズムとかアイデアが面白いんだ」。Hydra

 荘厳なイントロを持つ中世ヨーロッパ的な雰囲気は、タイトルである"Hydra"という言葉にぴったりとはまります。今思うと、よくあの当時こういった曲をリリースしたなぁ、と思うのですが、このアルバムがリリースされた1979年頃っていうのは、こういう音楽が流行っているというか、受け入れられる時代的な背景ってあったんでしたっけ? 私の記憶では突然こんなサウンドのアルバムが登場したという記憶しか残っていないのですが。しかもおおよそウェストコース・サウンドという言葉とは無縁の世界のような音楽観。勿論前述している通りに『宇宙の騎士』においてはその下地となる要素は多分に見受けられはしていましたが、次作においてはまさかこういう方向により進むとは考え難かったのではないかしらん。確かな記憶ではないけど、そんなことが思い浮かんで来ますね。

 さて、ジェフのプレイですが、メインのリフにおいては非常に細かくも芯のしっかりした"One-Hand-16note"でビートをキープしています。これなんて何気なく聞いたら8ビートに聞こえてくるわけですが(いや、最近まではそう思ってました)、よく聞くと16。が、ノリは完全に8ビートという曲です。いや正確には8ビートと言ってしまってもいいのかもしれませんね。8ビートは8ビートでもその隙間を埋めている音符はあくまで装飾符的な感覚でプレイしているのかもしれません。 またフェイド・アウト直前ではライブでの演奏でのようにテンポが倍になるのを辛うじて聞き取ることができます。

 このアルバムで、何と言っても一番目立つことはヘビーなリズム感とバス・ドラムの大きさでしょう(笑) どの曲においても、その色合いが鮮明に浮き出ておりまさしくジェフにやられてしまったわけですが。ジェフの言葉からも容易に推察出来るようにツェッペリンからの影響が大なんだと思います。ただ、アルバム全体をヘビーなリズム指向でまとめようというのはどの時点で出たアイディアなんでしょうか? ジェフのインタビューにもあるように実際のレコーディングに入る前にバンドとして3週間程度のリハーサルを行ったようですが、おそらくその段階で"Hydra"等の曲のアイディアが練られたモノとは思いますが......。

(A-2) St.George And The Dragon
 シンプルなリフを持ったシンプルな8ビート・ロック。ジェフの"ぶっ叩き系"プレイを堪能できます。

 曲がシンプルなだけになおさらジェフの"おドラム"が光って来るわけですが、それに加えてデヴィッド・ハンゲイト君の躍動感の溢れるベース・ラインはいかがなものでしょうか。St Geroge And The Dragon個人的にかなりデヴィッド・ハンゲイトのベースは大好きなのですが、このアルバムでも素晴らしい音質で楽しませてくれます。今にも弾けんばかりの音質は一歩間違うと危うく歪ずむ危険性を孕んでいるわけですが、そのぎりぎりのラインでコントロールされたサウンドは絶妙な音質を作り上げているのではないでしょうか? 特にギター・ソロからエンディングにかけて徐々に昇りつめていくところはお見事です。こうしていくら駄文を連ねてみてもご理解いただくのは難しいと思いますが、非常に少ない音数ではありますが、躍動感溢れるノリが凄い!

 『宇宙の騎士』の項でも触れたのですが、この曲は"Joker's Back"というデモ曲からスピン・アウトしたのではないかと単純に思っちゃうんですが.....。曲はともかくアレンジは流用したように聞こえてきますが、深読みですかねぇ。

(A-3) 99
 セットも、衣装も全てが真っ白というプロモーション・ビデオが印象的でしたが、TOTO的には定番中の定番の曲です。99

 ジェフはお馴染みの"One-Hand-16notes"でビートを刻んでいるわけですが、ここでは"Georgy Porgy"や"Hydra"等でのパターンとはちょっと違い"チ〜タカ、チ〜タカ"というアクセントを強めにつけて、ハネた感覚を強調しており、それに合わせるようにデヴィッド・ハンゲイトのベースラインもチョッパーで味付けがなされております。ここでも跳ねるか? と言いたくもなりますが......どんぴしゃのリズム隊には脱帽します。

(A-4) Lorraine
 憂いを含んだメロディ・ラインがこのアルバムのコンセプトに当てはまっていると思いますが、アルバム全体を見渡して考えてみると何となく子供っぽい曲だなぁ〜などと感じてしまうのですが、皆さんの感想ってどんなものなのでしょうか? ジェフのぶっ叩きドラムに、スティーヴ・ルカサーのハード・ドライビング・ギター。役者は揃っていますが.....。
 エンディングで徐々に盛り上がり、最後は荒れ模様となって行くパターンは『宇宙の騎士』に収録された"Angela"と同系列。おそらくレコーディング時ではフルエンディングで行われていると思われます。

(B-1) All Us BoysAll Us Boys
 曲名とはうらはらなまでに暴力的なジェフのドラミングが響き渡るロックン・ロール。

 「どど、タン」......いや〜、この出だしのジェフのプレイは何度聞いても痺れますね。ドラムが鳴った瞬間に、体ごとスネアに吸い込まれて行くような錯覚に陥ります。これまでJeff's Worldではひつこい位に書いていますが、やはりジェフが私のアイドルになったのはこの曲が発端だと思います。それだけに本アルバム中でも特に思い入れ深い曲でもあります。イアン・ペイス〜コージー・パウェル〜カーマイン・アピス等が大好きであったギター弾きの私にとってはドラマーを好きになるという素地は既に出来上がっていたわけですが.....。では何がそんなに私の心を捕らえたのか? やはり最大の要因はドラムが実に良く唄っているというところにあるんだと思います。で、とのかくこの曲では何よりもジェフのドラムが一番メロディアスであり、光っていたわけです(笑) ジェフとそれ以外のドラマー達との明確な差っていうのは、私が思っている程に違いはないのかもしれませんが......。

 さて、一説によればアナログの国内盤とUS盤とではミキシングが異なるということだったので実際に購入し聞き較べてみました(*注1)。比較に使用したのは国内盤CD( )とUSプロモーション盤( )です。正確をきするなら本当はアナログ盤同士で比較しないといかないんでしょうが、ちょっとズルをしてます。
 で、結果なのですが.....いやぁ〜、明らかに違っているじゃありませんか! こんなにも違っているとはちょっと驚きです。ざっと気が付いた相違点を列挙してみますと.....。

@全体的にギターが刻むバッキング音が大き目にミックスされており、はっきりと聞き取る事ができる(ような気がする)。
@2番に入る前にスティーブ・ルカサーによるトリプルハーモニーのメロディ・ラインがありますが、この後ろでデビッド・ペイチが雄叫びを上げている声がはっきりとミックスされてます。

@また国内盤の場合は、その後直ぐにスティーブ・ルカサーの短いギターソロがありますが、これが全くミキシングされておらず、代わりにキーボードによるアルペジオ的なフレーズが埋め尽くされています。またこの部分でもデビッド・ペイチ達の上げる叫び声もかなりはっきりと聞こえる位に大きくミキシングされてます。

@2番中のギターによるオブリガートの背景でも、先のキーボードによるアルベジオ・フレーズが流れます。

@不可解なことにCDでいうと開始から3分30秒あたり、最後の"All us boys want to play〜"とコーラスに入った瞬間にギターソロの音が一瞬"ふっ"と下がります。そして直ぐさま元の音量に戻るわけですが.....これなんか聴いていると、とてもこれが最終ミックスとは思えないのですが。これがプロモーション盤だからなのか、それとも通常のUSアナログ盤におてもそうなのかちょっと気になるところですね。

 だいたい、はっきりと聞き取れるのはこんなところなのですが、これだけでも全体の聞いた印象はかなり違って聞こえます。そんなわけで、他の曲にもミックス違いがあるのではないかと思い、耳を皿のようにして聞きこんだのですが、残念ながら他の曲に関しては違いを聞き取ることは出来ませんでした。
 私のこの曲に対する思い入れは相当なものなので、こうして書いていると切りがないのですが、曲の後半でコーラスがブレイクするところで、【例】のタムとバスドラムのコンビネーション・フレーズも気持ち良いのですが、それからブリッジの"Mother says your daughter〜"と入る前の小節の最後に16分にバスドラムを一つ踏んでますよね。これなんかも別にジェフじゃなくてもやっていることなんでしょうが、こんなの聞いていると妙に嬉しくなってしまうんですよねLabel

(B-2) Mama
 「これはR&Bだな、一種のね」とはジェフのお言葉。この曲を初めて聞いた時は「何だか変な曲だな〜」と思ったのですが、耳が慣れるにつれて味が滲み出てくる不思議な感覚を持った曲。

 ジェフは得意のシャッフル・ビートでプレイしていますが、要所でを加えられるゴースト・ノートは"Rosanna"への布石か? こういうプレイの仕方には本当にセンスの良さを感じられずにはいられません。このゴースト・ノートっていうやつは不思議なもんで、なんて表現したら良いのか......、気分的に高揚するというか、何かに追い立てられているような感覚を持たされてしまいますね。ミディアムテンポの曲でありながらも、非常にスピード感あるノリがあります。
 またデヴィッド・ハンゲイトとのコンビネーションも素敵です。ピック弾き、2フィンガー、チョッパーと、その適材適所で使いわけるところが上手いし、実に効果的で曲を演出してますよね。マイク・ポーカロのステイタブルな演奏もいいのですが、デヴィッド・ハンゲイトのちょっと危うい所や、たまに無茶するよなぁ〜っていうの大きな魅力でもあります。
 
 スティーブ・ルカサーのハーモニクスを多用したバッキングパターンも秀逸。

(B-3) White Sister
 説明不要の"ゴキゲン"なハードロック・チューン。ジェフの繰り出す過激なリズムの洪水に思わず飲み込まれそうになります。

 "All Us Bosy"でも感じたことですが、やはりここでの演奏も見事なほどに唄っているではありませんか。ドラムという楽器が持つスピード、パワー、躍動感を組み併せて聴き手を煽動的な場所へ誘ってくれるます。こんな風に演奏出来るドラマーって他にもいるのか? と、思いたい位にかっちょいいですね〜
 フェイド・アウト直前で始まるバス・ドラムを使ったコンビネーション・プレイには思わず舌を巻きますが、これだけ長いフレーズの間に容赦なくバス・ドラムを踏み続けるジェフの強靱的なパワーには恐れ入ります。ジョセフ時代のツアー時にはライブでもこのフレーズを再現していましたが、“アレ”はお見事な演奏です。

(B-4) Secret Love
  スティーブ・ポーカロ、デビッド・ペイチ、ボビー・キンボールの共作になっておりますが、ジェフがインタビューで「弟の曲」と説明をしていることから、ほぼスティーブ・ポーカロ一人によるコンポジションではないでしょうか。
 毎度一風変わった作品を提供するスティーヴ・ポーカロですが、この曲でも異彩を放っています。しかしアルバムのトップから流れを止めることなく、上手く引き継いでアルバムを締めくくるという大役を見事にこなしています。ジェフによるプレイはありません。

 なお、同時期に録音された曲に"Tale Of A Man"がありますが、こちらは後に『TOTO XX』に収録されることとなります→こちらを参照して下さい。

 ジェフはこのアルバムの中だけでも、実に色々なスタイルで演奏をこなしており、素晴らしく鳴り心地の良いドラムを聞かせてくれております。そして、当人がど言おうと、やはり一般的にはジェフっていうのは"セッション・ドラマー"というのが大方の見方だと思うんですよ。ただそんなジェフが"All Us Boys"や"White Sister"等で私達のド肝を抜くようなドラムを聞かせてくれるなんて、何とも痛快な話しじゃありませんか! と、同時に、これは勿論ジェフ一人の力ではなくTOTOというバンドが『ハイドラ』という作品を作り上げたことでバンドとしての一つ成長し、なおかつ"セッション・プレイヤーの寄せ集まり"的な見方な穿った見方を払拭することに、じつに見事な形で成功させたんだと思います。

 そんなわけで、私流の感想を書き連ねてみましたが、皆さんもいろいろなご感想をお持ちと思いますので、その辺りのご意見をJeff's World宛にお寄せ下さ〜い。

■入手状況
 勿論、TOTOのオフィシャル盤ですから問題なく入手可能です。近年では高音質をうたったSACVなるフォーマットのCDも出回っているようですが、残念ながらこちらはまだ聞いたことがありませんので、どの位音質が向上しているのかは不明です。情報をお持ちの方はぜひお寄せ下さい。

(*注1)ジェフが音楽評論家、湯川れい子氏のインタビューで洩らした言葉です
 アナログ盤ライナー・ノーツに掲載されたもの。

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