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いい天気だった。まさに塗装日和。
私はありったけの染めQを、その直径55cmのヘッドに吹き付けるのだった。
意外にもムラができにくく、普通の塗料より塗り易いと感じた。
『REMO』マークの部分には念入りに吹き付けた。
しかし、『REMO』マークはなかなか消えてくれなかった。
塗料が乗るも、どうしてもうっすらと透けてしまう。
私は更に吹き付けた。
何度も何度も吹き付けた。
それは塗っては乾かし、塗っては乾かしの気の遠くなるような作業だった。
一体いつになれば『REMO』は消えるのか。
何回塗れば『REMO』は無くなるのか。
ついにはスプレー缶を使い果たし、更に買いに走った。
そして気の遠くなる作業の末、『REMO』は消えた。跡形もなく消えた。
やったのか?
ところが、裏面を見た私は愕然とした。
そこにはまだ『REMO』がいたのだ!
裏面から見ると薄っすら透けているではないか!
憎っくき『REMO』!
そして裏面にも吹き付けた。裏面からREMOのマークが透けて見えるのは許せなかった。
憎き『REMO』マーク。
私にとって不要なマーク。
数時間の格闘の末、私はついに『REMO』マークをやっつけたのだった。
両面共に見事なほど真っ白に染まったバス・ドラムのヘッドはとても美しく見えた。
素人にしてはこれ以上ない仕上がりだ。

早々と次の工程…とはいかない。
やはり養生は必要だろう。
塗料がちゃんと乾き、定着するにはある程度の時間が必要だろう。
私は1日かけて染めQヘッドを熟成させることにした。
素人でよく分からないが、その方がきっといいに決まっている。
そうさ、オマエは『ターン・バック』になるんだから ...



(注1) JWに掲載されているジェフのセットの写真
今だから思うのですが、ベタ塗りしてしまうんだったら下地のヘッドは白である必要はなかったかもしれません。ただ、「塗装はいつかは剥げる」、というイメージがあったので、万が一塗料が剥げても下地が白の方が目立たないと思ったのです。

さて、次は業者さんに制作していただいたカッティング・シートを貼り付ける作業と穴を開ける作業です。貼り付ける作業は意外に容易でした。JWに掲載されているジェフのセットの写真(注1)を見ながら、バス・ドラムのフープクローフックの位置などでおよその位置関係は割り出せたからです。一箇所が決まれば、そんなに左右前後に動くものではありません。最初の「T」の左端、二つ目の「O」の右端、そして「口」の右端が合えばそれでなんとなくは正解です。
ところが、穴を開けようと考えた私はそこでちょっと悩むのでした。


穴のサイズは?
穴の座標は?
どんな道具で開ければいいの?

私は再びJWの写真を見直しました。なんとなくは分かる、しかし、穴開けは一回こっきりです。一度開けてしまった穴は二度と戻らないのです。私は慎重にならざるを得ませんでした。
私はJWの写真を拡大して印刷してみることにしました。しかし、拡大した写真はモザイクになってしまうのです。それでも私は写真に物差しをあて、バス・ドラムの直径を測るのでした。
そう、バス・ドラムの直径は22インチと決まっています。上に載っているタムのサイズからみても20インチや24インチということはないでしょう。そして穴の直径を測り、その比率で穴のサイズを割り出そうと考えたのです。
(注2) NTCutter C-1500P

バス・ドラムの直径22インチ(55cm)
写真のバス・ドラムの直径測定値10.3cm=X
穴の測定値3.3cm
181.5=10.3X
X=17.62135922…
穴のサイズは17cm〜18cm程度
よし、この程度のサイズの穴が開けられる道具はないのか?
あった!
NTCutter C-1500P!(注2)
正確、手軽に円が切れる。という謳い文句。
手軽に、というのがいいじゃないか!
しかし、カットできる穴のサイズに制限があった。
〜17cmまで…ここはもう止むを得ないだろ。
ジェフの穴は17cm強の穴と思われるが、MAXの17cmの穴で妥協するしかない。そもそも、測定値が正確である保証はどこにもない。あとは「決心」だけである。
「TO」の下これくらい、「鼻」の左にこれくらい、「口」の上にこれくらい、バス・ドラムのフープからはこれくらい、そんな目分量で穴の位置を決定するのであった。

もう少し写真がハッキリしていれば。
こんな小さな写真ではよく見えないじゃないか!
これはJWの嫌がらせだ。JWの陰謀なのだ。

まあ、腹を立ててもしょうがないので、直径17cmの穴を、およそココとおもわれる位置でサクっとカット。作業は謳い文句のとおり、素人の私にも簡単だった。

できた!
『ターン・バック』のヘッドができた!
カッティング・シートを制作してくださった業者様には感謝感激である。
お陰様でパッと見はかなり本物に迫っている…ように見える。

前回の失敗を踏まえ、今度こそ失敗は許されない。
そう思った私は、専門家にフロント・ヘッドの制作を依頼しようと制作会社へ問い合わせをしてみたのです。

「こんなヘッドをお願いしたいのですが…」
しかし、その返事は意外なものだった。
「著作権の関係でお作り出来ません。」

そりゃそうだ。
世の中には著作権というものがある。
これがあるから音楽家は安心して音楽を創作することができ、芸術家は安心して作品を創造するのだ。
そうとなったらもはや道は絶たれた。
前回同様の方法でやるしかないのだ。
ホントはこの方法は避けたかった。
何故なら、そこには憎き『REMO』マークがいるからだ。しかし、やらねばならない。
やらなければジェフのセットにならないのだ。

私は再びホームセンターでありったけの染めQを買い占め、そして吹き付けた。
しかも2枚のヘッドに。
実は前回、顔のサイズとバス・ドラムの比率に問題があるように思い、今回は2種類の異なるサイズのカッティング・シートを用意してもらっていたのだ。
そう、どちらか良い方を採用する、というオーディション形式をとったのだ。
あとはもう根性だけだ。憎き『REMO』マークは根性で消すのだ。
そして、今回は穴の直径を18cmにした。
前回はなんとなくだが、やはり小さく感じた。直径18cmの皿をヘッドに当てて普通のカッターナイフで切り取った。前回と違い、迷いがないので作業は速かった。

できあがったヘッドは前回より満足度が高い。
当たり前だ。そうでなければ作り直す意味がない。
ヘッドができあがってしまうと、既にもうジェフっぽいではないか。
やはりあのヘッドこそがジェフの象徴なのだ。

そして私は次へのステップへ進むのであった。
欄外のマヌケな脚注は管理人@Jeff's Worldによるものです。
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