home Jeff Mania
何故、ジェフはパールを使い始めたのか?
 さて、前置きはこのぐらいにして、この一連の流れの中で、"そうだ、どこかにカタログがあった筈!" と、自室のあちこちを探した結果、以前Jeff's Worldの『GuestBook』にも書き込みしたことがありましたが、1978年以降のパール、ヤマハ、TAMAのカタログを発見!(注1) 残念ながら、全ての年度が揃っておらず、無い年度はいつもお得意の妄想で補いながら.....、



(注1) 1978年以降のパール、ヤマハ、TAMAのカタログを発見!
今回のテキストではよっさんが所蔵している各メーカーの貴重なオールド・カタログを参照させていただきました。
"何故、ジェフはパールを使い始めたのか?"

を、色々な角度から考えていきたいと思います。
 尚、これからの話しは大方がフィクションでありますので、

「そこは違うよ!」とご指摘くださるよりも、
「そこはこういう風に聞いたよ!」、
「こんな風にも考えられるよ!」
 など、私のつたない話しを皆さんで肉付けし、Jeff's Worldの提唱する!? "極私的ジェフ・ポーカロの世界" を皆さんと楽しめれば幸いと存じます。

 それでは、時代を1978年まで巻き戻してみましょう! まずは何と言ってもドラム本体でしょう! という事で、ジェフ使用以前の1978年当時のヤマハとパールのドラム製品のラインナップを紹介しておきます。基本的なラインナップは当分の間は、各メーカー共以下の通りですが、その後はファイバー系のドラムが姿を消し、'90年代に入るとヤマハやTAMAにもメイプル胴がラインナップされるようになります。

《ヤマハ》(カタログにドラムに関する詳細が明記されてないので1979年版を参照)
YD-9000 カバ材 = バーチ材
YD-7000 カバ材 + メランティ材 + カバ材
YD-5000 メランティ材 + ゾラコート塗装
YD-3000 メランティ材

《パール》
President Export = ファイバーグラス・シェル (後のFX)
President = ファイバー・シェル (後のPX)
Giant Step Artist = メイプルファイバー・シェル (後のGAX)
Giant Step = メイプル・シェル (後のGX)
Crystal Beat = クリスタルシェル (この後廃番となる)
Dyna-Max = ウッドシェル = カバ材 = バーチ材 (後のBX)

《TAMA》(ヤマハと同じく1979年を参照)
SUPER STAR = バーチ材
FIBRE STAR = ブラックファイバーグラスシェル
IMPERIAL STAR = コーテッドマホガニーシェル
ROYAL STAR = コーテッドウッドシェル
SWING STAR = コーテッドウッドシェル
SWING STAR JUNIOR = 特殊合板
他に、アクリルのシェルもあったみたいです・・・。

 ご覧の様に、ドラム自体 (シェル = 胴) にかなり違いが見受けられます。ここで各社の製品について補足をしておきます。

 まずはじめにヤマハです。シェルとして使用されたカバ材 = バーチ材は、確か国産 (北海道) の物が使用されていた様に記憶しています。メランティ材はラワンというかベニアの様な材質だったと思います、というのも、私が最初に手にしたヤマハ製ドラムのYD-3000シリーズがそんな感じの材質でしたので。
 ゾラコート塗装はシェルの内側にグレーの塗料で塗装した物でした。他に、エイトタム(注2) の内面処理が、標準サイズはゾラコート塗装のみに対して、深胴サイズはミラーシルバー貼りとラッカー仕上げが用意されていました。
(注3) ハイテンション・ラグ
YD-9000シリーズは、ハイピッチにしてもシェルの歪まないハイテンション・ラグ(注3)が、既にこの時代から標準装備! しかも、バス・ドラムはウッド・リム仕様(注4)になってました。後は、切削リム(注5)もオプション設定あったり、バス・ドラムの歪みやミュートのズレを防ぐスタビライザーも準備されてます。
(注4) バス・ドラムはウッド・リム仕様
スネアーのフープ(注6)は、高額機種は切削リムが標準装備で、後はプレス・リム(注7)です。材質はウッド (シリーズに対応) とメタル (多分、スティールだと思います) の2種類だけみたいです。変わった物として、ティンパニィの応用(?) みたいなペダル付フロアタム、チューニング・フロアタムなどもありました。

 さてこのハイテンション・ラグですが、私的な理論とは思いますが少々説明しておきます。最近では、いろんなラグ(日本語で言うところの舟形)が市販品に装着されてますが、その昔は、基本的にはチューニングボルト一本につき一つのラグでした。通常は、ラグはドラムの胴に直接ネジ止めされてます。ハイテンション・ラグの名前からして、高い張力を実現させる事の出来る舟形ということでしょう。構造としては上下の舟形が繋がっていて一本の棒の様な感じで、互いを真っ直ぐに引っ張り合う事で、胴に余りストレスを掛ける事無くハイピッチのチューニングが出来るのではと思います。

 近年、RIMSの発売以来、ドラムの胴には出来るだけストレスとなるような余分な物は付けず、本来の鳴りを活かそうという風潮と、ヴィンテージの流行からか薄い胴の台頭もあり、以前のどちらかというと"ハイテンションにするための"というか、現在は胴に"ストレスを掛けないこと"に重点が置かれてチューブ式などのヴィンテージ色も兼ね揃えたハイテンション・ラグ系のものが多い様に私は感じます...。

 1979年になると、デュアル・セッティングが可能なシンバル・スタンドのアタッチメントやカラーフィニッシュにラッカー仕上げ (6色でYD-9000Recording専用、バスドラムのリムもボディー同色) 登場! 中には今で言うフェード系? に近いサンセット・ブラウンというサンバーストも設定されてました。
 この頃のヤマハはヘッドはラディックとエヴァンス (スティーブ・ガッドがオイル入りのハイドローリックを使用し一時期ブームに! 後に、オイル入りではレモのピンストライプに、主に耐久性の問題でその座を譲る)、シンバルはジルジャンを取り扱ってました。

(注2) エイトタム
 現在ではシングル・ヘッド・タム
(注3) ハイテンション・ラグ
 『DrumGear』の扉で使っているイラストは、管理人が3Dモデリングしたものですが、よく見るとハイテンション・ラグ仕様になってるんですよ、偶然ですが (^^;
(注4) バス・ドラムはウッド・リム仕様
 あの頃、ダークグリーンやブラックに塗られたこのウッド・リムっていうのがえらくカッコ良く見えたんですよね〜
(注5) 切削リム
 切削フープ。@金属の塊から削りだして作られたもの
by よっさん
(注6) フープ
 フープとリムですが、基本的には同じ部品を意味してると思うのですが…。アメリカではフープとしか言わないとRED氏…。リムは日本流かな?
by よっさん
(注7)プレスリム
プレス・フープ。@型押し成形。金属板をプレスして成形する。
by よっさん

(注8) クリスタル・ビート
(注9) エイト・ブラザース
(注10) ロート・タム
 一方のパールはと言いますと、ラインナップにもある通りに クリスタル・ビート(注8)なるアクリル胴が存在してました! なんとカラーはクリアー、イエロー、レッド、ブルーの4色。そして、エイト・ブラザーズ(注9)なるシングル・ヘッド・タムも同様のアクリル・シェルに4色が取り揃えてありました。ドラム・シェルのラインナップはカナディアン・メイプルを使用し、海外のトップ・ブランドに追従するものがあり目を見張りますが、他の小物・アクセサリーなどはオーソドックスに感じられます。

 1979年になっても、全体に大きな変化はありませんが、クリスタル・ビートはクリアーのみの1色の設定になってます。スネアーは、フープは全てダイカスト製になっています。材質は、メタルがブラス胴とスティール胴、後はドラム本体と同じくファイバーグラス、ファイバー、メイプルファイバー、メイプル、おまけ? にアクリルと結構多彩ですね。カラーフィニッシュは、カバーリングのみです。
 この頃のパールは、ヘッドはレモ、シンバルはパイステとUFIPとタスコを取り扱ってました。レモを取り扱ってる関係で、レモのロート・タム(注10)も販売してました。ロート・タム関連は、1979年にロート・タムの下側に円筒形 (深さ10.5") の物を取り付けて、タム・タムの様な使用に出来るバリ・ピッチと、その半分ぐらいの深さの円筒形をFull (円周) とHalf (半円周) に取り付け出来る、サウンド・リフレクター(注11)が新発売してます。








(注11) サウンド・リクレクター フル仕様
(注11) サウンド・リフレクター ハーフ仕様
(注12) オクタバンもゴングバスも
(注13) サンバースト・カラー
 最後にTAMAです、TAMAは1979年の簡易カタログしかありませんので詳細は分かりませんが、上記の様に、ドラム・シェルに関してはヤマハとパールを足して2で割った感じですかね・・・? ウッド・シェルの、SWING STAR、ROYAL STAR、IMPERIAL STAR (マホガニー) には、内側にヤマハにもあるようにゾラコート塗装 (コーテッドシェル) が施されてます。SUPER STARのみ、内面はポリレッド塗装 (外装色と同色) になってます。変り種としては、既にこの時期に、ご存知サイモン・フィリップスも古くから愛用の、オクタバンもゴングバスも(注12)ラインナップされてます!!! そして、カラーバリエーションもラッカーフィニッシュが4色あります。サンバースト(注13)もありますが、私の中ではTAMAと言えば "アクア・マリン! (YMOの高橋幸宏氏使用)" そのぐらい憧れたラッカー・フィニッシュがありますね。
 スネアーは、フープは機種によりダイカストとプレスの設定。材質は、メタルがシームレスメタル (多分、スティールだと思います・・・) と、特殊軽合金 (型番にALが付いているのでアルミかな〜?)。ウッドはバーチ。後は、ファイバー胴のラインナップでした。ヘッドは、オプションでレモ (アンバサダーかCS) のチョイス可能、シンバルはザンキなる、私も良く知らないイタリアのメーカーが記載されてます。

 ドラム本体の私的総評ですが、ヤマハは胴に国産のカバ材を使用し、ドラム周辺の小物も充実していて、"より良い日本製品を目指してます" みたいな感じがあった様に記憶してます。実際、触れていませんので想像でしかありませんが、当時の私が持つヤマハの音のイメージは、中低音がふくよかな感じと、綺麗な澄み切った音の感じで、特にスタジオでの録音 (マイク乗りが良い! と噂されてました) に最適な、とても整理された音を持っていた様に思います。この後に検証する、エンドース契約をしてるミュージシャンを見ても分かるように、海外 (特にアメリカ) では、どちらかというとニューヨークを中心とする東海岸の、スティーブ・ガッドを筆頭に、以後一世を風靡する事になる、来るフュージョン・クロスオーバー系のエンドース・ミュージシャンが多いように思います。

 パールは、ドラムの材質は、今では世界基準 (かなぁ〜?) であるメイプル (カナディアン・メイプル) を、当時から使用してのドラム造りです。メイプル・シェルには、内側にグラスファイバーをラミネートしたハイブリッド (最近の言い方) な機種を有しています。今でもメイプル・シェルにカーボンクロスをラミネートしたシリーズを発売してますね。ある意味、企業姿勢が一貫してるのでしょうね(笑)
 パールの音のイメージは、どちらかというと倍音が多く硬質で芯のある音、特にライブ演奏などの生音で威力を発揮する様に思ってました。全体的には、職人気質というのでしょうか? ドラム一筋のドラム○○みたいな・・・。エンドース契約してるミュージシャンも、アメリカではヤマハとは逆にロサンゼルスを中心とする西海岸、後はKISSのピーター・クリスを筆頭にロック系、生音勝負のジャズやビッグバンド系の人が多いみたいですね。

 最後にTAMAですが、ドラムの材質は、ウッド有り、ファイバー有り。特に、ヤマハ、パールには無い、オクタバンやゴングバスが目を引きます。それと、他社には無い高額機種のスタンドの脚部分がアルミダイキャストになっていて、軽量、安定性、操作性の良さをアピールしてます。とにかく私の印象では独自の視点、観点からのドラム造りを感じたTAMAでしたね。エンドース契約をしているミュージシャンを見ても、プログレ系のスーパースター達がこぞってTAMAの独自性を活用し、音楽に持ち込み反映させていたように記憶しています。

 ここまではドラム本体について書いてきましたが、次は1980年代という時代を、あくまでも主観ですが、当時感じたことを書いてみます。

(注12) オクタバンもゴングバスも
 これは一応ビリー・コブハム・モデルみたいですが、こんなセット叩きこなせるんでせうか(^^;
(注13) サンバースト・カラー
 管理人的にはやはりTAMAといえば、このサンバースト・カラーに強烈な印象を持ってますね。ゴタイゴのトミーさんとかが使ってませんでしたっけ?
"どこがジェフに関係しているの?"
 と、思われている方が殆どではないかと思いますが、まぁ、少しは "その時代" というものも関係してるかもしれませんので、今しばらくお付き合いをお願いします。
戻る 進む