Session Works
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Peter Frampton
Breaking All The Rules

Produced by David Kersmenbaum And Peter Frampton
Label : A&M Records
Release : 1981
Records : AMP-28032

Side One
1. Dig What I Say (Peter Frampton)
2. I Don'T Wanna Let You Go (David Finnerty)
3. Rise Up (Billy Alessi, Bobby Alessi)
4. Wasting The Night Away (Peter Frampton)
5. Going To L.A. (Peter Frampton)

Side Two
1. You Kill Me (Peter Frampton)
2. Friday On My Mind (Harry Vands, George Young)
3. Lost A Part Of You (Peter Frampton)
4. Breaking All The Rules (Peter Frampton, Keith Reid)

Peter Frampton : Gutiars, Guitar Synthesizer, Keyboards And Vocals
John Regan : Bass
Jeff Porcaro : Drums
Steve Lukather : Guitars And Backing Vocals

Recorded On The Charlie Chaplin Sound Stage, A&M Records, By Le Mobile Remote Recording.
Additional Recording And Mixing At Mediasound, New York City
Engineered And Mixed By Harvey Goldberg
Assistant Engineers: Don Wershba, Guy Charbonneau And Clifford Bonnell
Mastered By George Marino At Sterling Sound, New York City
Ed Monteleone: Guitar On "Friday On My Mind"

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name Email Address date

Jeff's World

jeffs-world@pos.to

2003.02.09


 1981年にリリースされた本アルバムは未だCD化されておらず(2003年1月現在)、私的には最もCD化して欲しいレコードのうちの一枚です。いつもの「スティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロの.....」という言葉に釣られて当時購入した一枚なわけですが、今程ジェフ狂いでなかった当時の私はスティーヴ・ルカサーのギターがお目当てで買ったわけです。しかし、しかぁ〜し.....全9曲に参加しているというのにスティーヴ・ルカサーのソロは一切なし! という非常にがっかりした思いがありまして、正直、殆ど聞き込んでいなかったです(笑).....良く聞くようになったのは極く最近のことです。

 さて本アルバムの主役のピーター・フランプトンですが、これまたいつものように、あまりよく聞いた部類の人ではないのでして、その昔、TBSで放送されていた『ぎんざNOW』でプロモが流れていたのを見た程度のことしか聞いたことがありません。あの頃は本当に人気があって"Show Me The Way"とか"紫の夜明け"とかが大ヒットしたりしてたんですが、いつの間にか話題にならなくなっていました。その後しばらくしてから、このアルバムがリリースされたんだと思います。ピーター・フランプトンのオフィシャル・サイトをチェックしてみると彼自身のコメント「This album was the first where it was recorded almost completely live - I think it sounds the better for it!」とされているように、アルバムのレコーディングは、ロサンゼルスにあるA&Mのチャーリー・チャップリン・サウンド・ステージにモービル・ユニットを持ち込んで行われてものだそうです(ここは、かつてYMOが衝撃的なライブを行った所です)。ジェフがどんなドラム・セットでレコーディングに臨んだかは知る由もありませんが、音の雰囲気、時期的にヤマハっぽいんですが.....どうなんでしょううね。

 ピーター・フランプトンと言えばあの映画『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』にビージーズとともに主演。多分、私が高校一年生の頃か? 偶然にもこのサントラにもジェフは参加してますね.....まぁ、こちらの話しは別の機会にしましょう。

Side One
(1) Dig What I Say
 単純・明快、ストレートなロックンロール。アルバム全体からそれらが、此処かしことばかりに沸き溢れています。ピーター・フランプトンの他のアルバムを聞いたことがないのですが、少なくてもここでは、彼の持つロック・ピリットが受け手の私には“ひしひし”と伝わって来ます。正直、個々の楽曲がもの凄く良いというわけでもないと思うのですが、妙に心に響くものがあります。その心地良さは「一発入魂」に徹している潔さから来ているのかもしれません。ほんとうにかっこいい曲です。
 そして、ジェフさんですが.....これが本当に凄い! モロに叩きまくっています。それはこの曲に限ってというわけではなく、アルバム全体において熱演を繰り広げています。レコーディングがライブ形式であったということも関係しているとは思いますが、かなりハイテンションかつ、リラックスしてレコーディングに参加しているのではないでしょうか。というのも各曲において、ジェフは手クセ、足グセを連発しており、まことにジェフ・マニア泣かせのプレイをしてくれているのです。まあこの辺はピーター・フランプトンから大きく熱を受けたからかもしれませんが。

 スティーヴ・ルカサーによるソロはないと書いたのですが、ハーモナイザーらしきエフェクターを大量にかけたようなギター・サウンドのイントロやオブリガードのフレーズはもしかあしたら?と思いますが、ちょっと判断が付きかねます。ギターソロ? 多分、違うだろうな〜 ジェフはフェイド・アウト間際で足技を使ったフレーズ入れ始めますが、残念ながら殆ど聞き取れない!

(2) I Don't Wanna Let You Go
 ジェフの「ドったん」で始まる、ミディアム・テンポのハード・チューン。ピーター・フランプトンのパワフルのボーカルを堪能することが出来ます。ジェフはダブルハンドの16ビートで入り、ブリッジ〜コーラスに掛けては8ビートでプレイ。全体がかっちりとしているのが、いかにもジェフらしいです。また1コーラス毎に入るブレイクではジェフのドラム・パターンだけになるのですが、ここの間の取り方も非常にジェフらしくて気持ちがいいです。そして、手数的にもかなり派手なプレイをしており、ジェフの持つ決め技.....「タムを流しつつバスドラを絡める」やつ、「ダ・チーチ、ダ・チーチ」とか、「タカ・トコ・だだ、タカ・トコ・だド」の必殺6連技等々.....一通り聴くことが出来まして、私のミーハー心をくすぐってくれます。しかしまぁ、「ダ・チーチ、ダ・チーチ」でこれだけ盛り上げられるのはジェフとコージー・パウェル位なもんでしょうね(笑) バックビートを刻むスネアはフラムっぽく転がしてます。

(3) Rise Up
 これまたシンプルながらもガッチリとしたノリがカッコいい8ビートロックです。ちなみにこの曲はアレッシー兄弟による提供でして、そう言われて聞いてみると彼等の特色が良く出てますね、って『そよ風の口づけ』しか聞いたことありませんが(笑).....なんて思って書いていたらアレッシーもその『そよ風の口づけ(Long Time Friends)』にこの曲を収録していました。どうりでアレッシーっぽいと思ったわけですが、当たり前ですね(笑) どういう経緯でお互いに録音することになったかは分かりませんが.....アレッシーのテイクは彼等らしくしっとりとした仕上がりで、ピーター・フランプトンとはまるで雰囲気が違います。アレッシー・テイクでもジェフがプレイをしていたら面白かったのですが、残念ながらこちらは違いました。『そよ風の口づけ』についてはこちらを参照して下さい。
 さてさてさて、ここでもまさにビューティフルという言葉がビッタシのジェフのドラミングを聞くことが出来ます。いつものことでジェフのドラミングを言葉で表現するのは難しいのですが、『全編 Live For Today』と言うとお分かりいただけるでしょうか。また訳の分からない造語を書いてしまいましたが(笑) あの名プロモ『Live For Today』を思い浮かべて下さい。このアルバムの制作期間と非常に近い日時に作られたものだと思うのですが、このアルバムを聞いていると、ジェフの喜々とした表情でプレイしている“あの”姿が思い浮かんで来てなりません。しかも全編あの雰囲気で叩いてくれてますから、ヨダレものなのです。TOTOでのプレイ以上にロッキン・ロールしてますよ。あのビデオでは、ライブ演奏ということで結構派手にプレイをしていたと思いますが、このアルバムではまさにその延長線上にあるプレイと言えます。ベースとの絡みもドンピシャリで、もう文句なく最高すっ〜

(4) Wasting The Night Away
 ピーター・フランプトンのハスキーな声がマッチしたブルージーな曲。3回もギター・ソロをフューチャーする程でピーター・フランプトン自身がノリに乗っている感じが表れてます。
 この曲においてもまさにポーカロ節が炸裂! ほんと、気持ち良さそうに叩いてますね。ハードさを強調するためかイントロ、間奏はフロアタムを使ってリズムを刻んでます。3度目のギターソロからフェイド・アウトに掛けてはハイ・ハットのパターンを変えてます。

(5) Going To L.A.
 ピアノをバックにピーター・フランプトンが歌い上げるロック・バラード。バラード調の曲でもブッ叩くというのもジェフの特色ですが、入りはハイ・ハットとリムショットで控え目にプレイ。ちなみにハイ・ハットにはアクセントを付けてこっそりと跳ねらかしてます。決めどころではここぞとばかりに、曲をブチ壊すことなく最大限に盛り上げます。さすがにスネアは軽る目のものを使用してますが。
 この曲のギターソロもピーター・フランプトンによるものだと思うのですが、此れ程迄にギターを弾きまくる人とは思っていませんでした。とか言って「これはスティーヴ・ルカサーが弾いてます」ってなるとシャレにならないのですが。いずれにしても渋いプレイを聞かせてくれます。

Side Two
(1) You Kill Me
 ジェフの「ど、タン」で始まるハードヘビー・チューン。どこを取ってもジェフらしさを満喫できます。オープン・ハイ・ハットでリズムを刻みながら、しっかりゴースト・ノートを入れてます。

(2) Friday On My Mind
 かなりのアップ・テンポな曲。ジェフは8ビートのリズム・パターン刻んでいるのですが、高速感を演出する為かハイ・ハットで装飾譜を加えているようなのですが、どうやって演奏しているのかは私の耳では解析不可能です(笑) オーバーダブはしてないと思います。
 アルバムを通じてベースのジョン・リーガンと良好なプレイをしているのですが、この曲でもドンピシャのコンビネーションを聞かせてくれます。

(3) Lost A Part Of You
 サビの「ん・ダッダー、ん・ダッダー」のアクセントが"Live For Today"っぽい、ミディアム・テンポの曲。ジェフはベタっとしたドラミングを披露。バックビートを刻むスネアを時折手癖のように転がしてます。

(4) Breaking All The Rules
 ラストのこの曲も強力なリフで始まる骨太ロック。ユニゾン、キメの仕掛けありと、パワフルこの上ないハードさです。ジェフはあらん限りのパワーを振り絞るかのごとく気合いを入れてます。

 ロック・フィーリングを前面に打ち出したジェフが全曲に参加し、その持てる力を存分に発揮してプレイしていることを考えるとジェフ・マニアにとっては必聴盤と言えそうです。『TOTO _Turn Back』、『Char_USJ』系列のプレイをお探しの方には大お勧めですね。また、このアルバムが押入れに眠っているという方がおりましたら、ぜひこの機会に聞きなおしてみて下さい。

■入手状況
 私の知る限りにおいては未だCD化はされていない、もしくは廃盤のように思います。これだけありとあらゆるアルバムがCD化されていることを考えると、ピーター・フランプトン程のアルバムがデジタル化されていないのはちょっと淋しい気もします.....それだけ要望が少ないということなんでしょうかねぇ。そんなわけですから、どうしても聞きたいという方は地道に中古盤を探すしかないでしょう。推定価格は¥100円〜¥500円といったところではないでしょうか。


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