Session Works
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Okumoto Ryo
"Makin' Rock"

Produced : by Taka Nanri
Label : CANYON RECORDS
Release : 1980
CD: C28R0053

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Side-A

1. Keep On Rockin' (Ryo Okumoto, Moko)
arranged by Ryo Okumoto, Jay Graydon

2. Crystal Highway (Jeffrey Porcaro, Steve Lukather)
arranged by David Foster

3. Solid Gold (Ryo Okumoto, Moko)
arranged by Ryo Okumoto, Jay Graydon

4. L.A.Express (Ryo Okumoto)
arranged by Ryo Okumoto

Side-B

1. Freedom (Ryo Okumoto)
arranged by Ryo Okumoto

2. Original View Plus (Jeffrey Porcaro, Steve Lukather)
arranged by David Foster

3. Mystery White (Ryo Okumoto)
arranged by Ryo Okumoto

4. Morinig Joint (Ryo Okumoto)
arranged by Ryo Okumoto

Recorded At;
Sound Labs Studio, Hollywood L.A.
Sound Design Studio, Tokyo

Engineers; John Milis

Assistant Engineers
Chip (Sound Labs)
Atsush Kaji (Sound Design)
Masahiro Taya (Sound Design)
Takashi Ichimura (Hitokuchizaka)
Masato Kitagawa (Hitokuchizaka)

Re-Mix Studio; Hitokuchizaka Studio, Tokyo

Musicians
Jeffrey Porcaro; Drums
Neil Stubenhaus; Bass
Steve Lukather; Guitars
Jay Graydon; Guitars
David Foster; Piano, Fender Rhodes
Ryo Okumoto; Piano, Fender Rhodes, Obx, Arpsynthesizer,Vocorder&Vocal

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name Email Address date

Jeff's World

jeffs-world@pos.to

2001.04.12


 奥本亮の2ndアルバムにあたる『"Makin' Rock"』は彼の1stアルバムに引き続き再び海外で録音されたものです。デビュー・アルバムである『Solid Gold』はロンドン録音。その時の参加メンバーは確かマックス・ミドルトン等の第二期ジェフ・ベック・グループやハミングバード関連の人達が中心だったように記憶しています。私はこちらのアルバムは未聴のため詳しいことは分からないのですが、多分そんな所だったと思います。そしてこの『"Makin' Rock"』なのですが、リリースされたのが1980年ということで、ある意味日本における海外録音がブームになっていた、正にそんな時期の作品でした。封入されているライナー・ノーツを執筆されている小倉エージ氏もその中で触れているように、このアルバムの参加メンバーとなると、これまたこちらが唖然とするような人達ばかりなのです。小倉氏も何故これほどまでの豪華メンバーを呼び集められたのかの理由は知らされていないようなのですが......。そもそもこの頃のキャニオンってロス・コネクションでも持ってたんでしょうかね〜。ほぼ同時期に、この奥本亮、Char、尾崎亜美と立て続けに豪華ロス一派を獲得しているわけで(レーベルは跨っているかもしれませんが)。もしかしたらジェフ達に極く近いコントラクターとの太い繋がりがあったのかな〜などと想像したくなりますね。ちょっと深読みのし過ぎ?

 さてジェフについてですが、ライナー・ノーツにはドラムを叩く姿が小さくレイアウトされているのですが、残念ながら使用しているドラム・セットを識別出来る程ではありません。時期的に考えると、まだパールと契約する前のことでしょうから多分ラディックのものなんでしょうが。ちみにフィニッシュはメタルのように見えますよ。肝心の音の方はかなり生音に近いものであり、音がすごく身近に聞こえて来ます。バス・ドラムなんかは結構重たく聞こえてきますが、比較的口径の大きいものを使用しているのでしょうか。全体的な雰囲気は時期的にも『ハイドラ』に近いものがあります。重い!

(A-1)Keep On Rockin'
 のっけからジェフがド派手に叩きまくる大ハード・ロックの世界であります。こう書けばどんな風にプレイしているのかだいたい察しがつくと思いますが。そうですバスドラの連打ありの、得意の六連フレーズありので、十分に迫力のドラミングを堪能出来てしまうわけです。正直、曲自体は極くありふれたもので、コード進行も非常にお約束的なのですが、それでも曲を支配しているであろうジェフの作り出す大きな"うねり"に身を任せると不思議とそれ以上の魅力が出て来ます。聞き手側の体内にふつふつと"ノリ"を作られてしまうのです。オープン・ハイハットから繰り出されるリズムは完ペきな口ックンロール・モードに突入していて、特にサビ部分でのジェフのリズム感には異次元の心地良さがあります。

 アルバムでベースを担当しているのはニール・スチューベンスハウスなのですが、彼もこの時期の超売れっ子ミュージシャンの一人でしたね。あらら、そう考えると先に上げた3枚のアルバムに参加しいる人達って殆どみんな一緒なんですよね......。多分このアルバムを当時買った人って大前提としてフュージョン的なものを予想していたんだと思います..........私も含めてですが。それがいきなりの大ハードロックで、しかも彼の枯れたしゃがれた声を聞いた時はちょっと意外だったのではないでしょうか。だからと言ってこのアルバムを否定しているわけではありません。正直、発売された直後はこの曲と(B-2)Original View Plusの2曲なんて、毎日繰り返し聞いていた記憶があります。あの頃はよく『Jeff Porcaro - Steve Lukather Best Session Tape』なんてカセットをよく作ったりしてましたが、この2曲は必ずそれに加えていた程です。

(A-2)Crystal Highway
 前曲のいかにもハードロック然とした雰囲気から一転して今度はジェフの"One-Hand-16note"を活かした非常に心地の良い、初夏の日差しを浴びているかのような、非常にウェスト・コースト・ライクな曲です。『夜の彷徨』の頃のラリー・カールトンぽいのかな。前曲との雰囲気があまりに違うのでちょっと「おや?」と感じますが。それもそのはずで作曲はジェフとスティーヴ・ルカサーの二人によるものです。というわけで、この曲と(B-2)Original View Plusだけが毛色が違うと直ぐに気づくわけですが。これらの曲がこのセッションの為に用意されたものなのか、もとからあった曲なのかどうかは不明。良い曲になる素材は感じられるのですが、ちょっと中途半端な仕上りが残念。ジェフはここではスネアが若干深いものを使用している感じです。

(A-3)Solid Gold
 再びロックっぽさを取り戻したこの曲ではドライブ感溢れるスリソングな演奏を展開してくれます。奥本亮という人はやはりフュージョンというよりはこういうプログレっぼいロックなんだろうな。グルーヴ全体から一体感みたいなものが滲み出ていて、いいんじゃないスか。

(A-4)L.A.Express
 スケール感のあるキーボード・フレーズが印象的な、これもプログレ色が強い曲です。奥本亮の華麗なるキーボード・プレイがふんだんに聞くことが堪能出来ます。非常にヨーロッパ的な仕上げ、かな。

(B-1)Freedom
 "One-Hand-16notes"で始まる壮大なイントロダクションはやはりスペイシーな雰囲気を醸し出しており、アルバム中屈指のインプロビィゼーションが繰り広げられます。A面では比較的大人しいプレイに終始していたスティーヴ・ルカサーもここに来てようやくエンジン全開という感じで、ノリノリ状態で弾きまくります。リズム&ドラム・マガジン誌において「この曲のギター・ソロのバックで使われるリズム・パターンは後の"Jake To The Bone"での原型では?」という指摘が出ておりましたが、そう言われれば確かにそんな感じのフレーズですね。ただし、曲が進行するにつれてそのリズム・パターンもどんどんと変化して行き、遂には"あのフレーズ"へと変形してしまうのです。この曲を聞いた方なら既にお分かりと思いますが.....。どんなフレーズか知りたい方はこちらをクリックしてみて下さい。このパターンをリズムにしてしまうとは! おそるべ〜し。

(B-2)Original View Plus
 この曲でもジェフが作曲者としても名を連ねております。スケール感のあるインスト曲でありまして、私としてはこのアルバム中のベストであると思います。今までさ程意識してなかったんですけど、この曲も跳ねてたんですね。本当に久々に聞いたので昔とは曲の響きがまるで違ちがちゃってて......。ジェフのドラミングもさることながらニール・スチューベンスハウスの弾くフレーズもワイルドさが感じられて、とってもグッドな感じなのです。スティーヴ・ルカサーが弾く中盤から後半にかけての素晴らしいギター・ソロも抜群で、卓越したフレーズ感覚には痺れます。サウンド的にはこの頃の典型的なものであり、レコード・ジャケットからも分かる通りあの美しいトラ目のレスポール・サウンドを披露してくれております。曲の終わり方は何となく楽屋落ちみたいな感じです、これって突発的にこうなったのかしら? ジェフもボンゾになりきってますです。

(B-3 )Mystery White
 (B-2)OriginalViewPlusに引き続き、こちらもハネるビートです。TOTOのPamela等に代表される「チ〜ちっち、チ〜ちっち」っていうシャッフル系のビート。スティーヴ・ルカサーががんばるも地味な仕上がり。

(B-4)Morinig Joint
 ほんの短いピアノによる小曲。ジェフの出番はありません。

 このアルバムを称するなら"ハード・プログレ・フュージョン"ってとこでしょうか。奥本亮の奏でるキーボード・サウンドは正にそんな感じです。そして偶然かどうかは分かりませんが、この頃のTOTOというバンド自体も、その香りを持ったバンドでしたから、思いの他この組み合わせってしっくり来ていたのかもしれませんね。かなりいい感じの仕上がりとなってるんじゃないでしょうか。

なお現在の奥本亮はアメリカに渡りプログレ系バンドに在籍し活躍されているようです。

@入手状況
 ご存じのように現時点(*注1)では残念ながら本アルバムはCD化はされておりません。手に入れるには根気よく中古のレコードを探すか、オークションに出品されるのを待つしかなさそうですね。見つけたら即ゲット・アイテムだと思います。私もリリースされた当初はレンタルで済ませていたのですが、某レンタル店が潰れた時の投げ売りセールで何と300円(!)で購入しました。一日も早くCD化されることが望まれます。プラスその時は未収録曲なんかもボーナス・トラックとして追加してもらいたいですね〜。

(*注1)2001年3月現在

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