Session Works
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Fra Lippo Lippi
Light And Shade

Produced by Walter Becker
Label : Virgin Records Ltd
Release : 1987
Records : V2442

Side One
1. Angel (Music : Sorensen, Lyric : Kristoffersen )
2. Freedom (Music : Sorensen, Lyric : Kristoffersen )
3. Don'T Take Away That Light (Music : Sorensen, Kristoffersen Lyric : Kristoffersen )
4. Beauty And Madness (Music : Sorensen, Lyric : Kristoffersen )
5. Home (Music : Sorensen, Lyric : Kristoffersen )

Side Two
1. Light And Shade (Music : Sorensen, Lyric : Kristoffersen )
2. Some People (Music : Sorensen, Lyric : Kristoffersen )
3. Crazy Wisdom (Music : Sorensen, Lyric : Kristoffersen )
4. Stardust Motel (Music : Sorensen, Kristoffersen Lyric : Kristoffersen )
5. Indifference (Music & Lyric : Kristoffersen )

Produced By Walter Becker
Engineered And Mixed Roger Nichols

Rune Kristoffsen, Per Oystein Sorensen, Walter Becker, Robbie Buchanon, Leroy Clouden, Paulinho Da Costa, Jimmy Haslip, Mark Isham
James Johnson, Abe Laboriel, Maril Morgan, Dean Parks, Claude Pepper, Jeff Porcaro, Tom Scott : Sax, Carlos Vega, Tim Weston

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name Email Address date

Jeff's World

jeffs-world@pos.to

2002.07.30


 ウォルター・ベッカーのプロデュースによるスウェーデンの二人組のデュオ。Fra Lippo Lippi......この風変わりなバンド名の由来が何なのかちょっと気に掛かったので、インターネットを利用して検索してみたのですが、どうやら有名な詩人だか、絵描きさんにちなんだものらしいのです。どうもズバリという回答を見つけることが出来ませんでした......。それは脇に置いておきまして、私にとっては初モノでしたので、オルタネイティブ系のバンドとも紹介されており一体どんなサウンドが飛び出すのか興味津々でレコード盤に針を落としたわけですが、意外にも普通の楽曲群にちょっと拍子抜けしてしまいました。まぁ、かといって気に入らなかったというわけではなく、さして期待していなかっただけに、逆にかなり楽しめるアルバムでした。

 ウォルター・ベッカーの人力といって構わないと思うのですが、アルバムに参加したプレイヤーを見てもらえばその豪華さは一目瞭然です。が、残念ながら楽曲毎の詳細なクレジットがないので、誰がどの曲でプレイしたかは分かりません。というわけで、いつものように私の当て推量に基づいてジェフのプレイと思われるモノを中心に感想を述べたいと思います。

Side One
(1) Angel
 軽快でシンプルかつEarthyな曲。妙に爽やかなところは私の好みだったりします。こういう爽やかさって私の持つヨーロッパ的なイメージと相反するのでちょっとビックリしました。美しいメロディーを含め的確にこのグループの本質を表していると思います。

 ドラムは?.....う〜ん、かなり悩むところなのですが、私にはエクセレントに響くハイハットやスネアの音はジェフの"それ"とも思えますが......かなり微妙なところですね。ただ全体的にジェフ特有のうねるようなノリがあまり感じられないので別のドラマーなのかもしれません。

(2) Freedom
 一曲目の流れを汲むシンプルなアップ・テンポの曲。このあっさりした感じ、妙に引き込まれるところがありますね。

 ドラムは迷うところでありますが、こちらもジェフではない別の誰かによる演奏ではないでしょうか。

(3) Don'T Take Away That Light
 おそらくシーケンス・マシンを使ったリズム隊を起用していると思います。生のドラムによる演奏はないようにも聞こえますが。

(4) Beauty And Madness
 タイトルに記されているようなピアノを基調とした美しい スロー・バラード。曲が進行するにつれて力任せにフロア・タムを思いっ切り叩いているのはジェフか?

(5) Home
 シンコペ的に入るバスドラム、軽快なハイ・ハット・ワークは明らかにジェフによる演奏。イントロでのハイ・ハットを一聴しただけで分かる程ですから、逆に考えるとここまでの1〜4曲はジェフではない可能性が大ですね。

 いや、それにしても強力な個性じゃありませんか。ほんとうにこういうプレイを聞くと、ついつい頬が緩んでしまいます。曲の中盤でリズムで遊ぶパートが登場しますが、曲の目先が変わり面白い効果が出ています。ジェフはほぼ完璧な演奏。

 おっと〜、曲について触れていませんでした。デュオらしく巧妙なコーラス・パートを配し、楽曲自体も秀逸で〜す。

Side Two
(1) Light And Shade
 アルバム・ジャケットに使用されている風景を彷彿させる美しい曲。

 イントロの出だしのタム・タムのフィルは紛れもなくジェフ。そして見事な"One-Hand-16notes"を披露しています。これぞ"This is The Jeff !" ここまで来るとほとんど芸術の域に達していますよね。この曲のでは8ビート的なアクセント......いわゆる"消える16ビート"なわけですが、ご当人はどんな風にしていろいろなシチュエーションごとにアクセントを使いわけていたのか質問してみたかったです。

 この曲でのジェフのプレイには圧巻されます。いつものように何一つ派手な演奏をしているわけでもないのですが、まるで太極拳のような優雅なスケール感、今でいうならさしずめ"癒し系"ってところでしょうか。ミディアム・テンポの本曲にはこのノリがドンピシャで、ジェフ特有のまったり感としたリズムが最高です。もちろんこのアルバムにおけるベスト・トラックでしょう。そしてタム・タムの音の抜け具合いも素晴らしい! 言葉で説明するのが非常に困難なのですが......シェルの芯から放なたれた一撃が一瞬にして回りの空気をオブラート状に変えることで、非常に抜けの良いが濃密な音が聞こえて来るんです。まぁ、ジェフ・マニアにはたまらない曲ですよね、こういうのって。

(2) Some People
 シンプル、軽快感、コーラス.....このグループの特徴が良く出ている曲。

 ふむふむ、これはカルロス・ベガがプレイしてるんだろうな〜恐らく、タム・タムを流すフィル・インの雰囲気から(A-1) Angelと同じドラマーによるプレイと思われます。

(3) Crazy Wisdom
 もの悲しいスローバラードな曲。

 バラードなのにどこかハネタ感じはジェフであるような.....ただスネアの音が違うよな。

(4)Stardust Motel
 何となく、というよりもモロにスティーリー・ダンっぽいミドル・テンポの曲。バックのピアノがそれらしさを強調しています。

 ざっくりしたドラム・サウンドは誰がプレイしているのか判断付き難いのですが.....マシンの可能性も有ります?

(5) Indifference
 今までのネイチャーな雰囲気とは異なるヒューマンレスなアップ・テンポな曲。
無気質なドラム・サウンドはマシンによるものかもしれませんが、案外、ウォルター・ベッカーのことですからジェフかカルロス・ベガにプレイさせているのかもしれません。

 何だかんだで個人的にはかなり楽しめるアルバムです。確実にジェフが参加していると思われる曲は2曲と、多くはありませんが、しかしそれらの曲では円熟味を増した官能的とも言える、素晴らしい演奏を聞かせてくれます。ジェフ・マニアは押さえておきたい一枚ですね。もちろんアルバム全体としても秀逸な作品ではないでしょうか。

●入手状況
 残念ながら現在はアナログ盤、CD盤共に廃盤扱いのようです。中古盤等を含め、見つけた場合は即買いでしょう。


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