Session Works
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Allen Toussaint
Motion

Produced by Jerry Wexler
Label : Warner Brothers INC.
Release : 1978
Records : BSK3142

SIDE A
1. Night People (A.Toussaint)
2. Just A Kiss Away (A.Toussaint)
3. With You In Mind (A.Toussaint)
4. Lover Of Love To Be With You (N.Neville)
5. To Be With You (A.Toussaint)

SIDE B
1. Motion (A.Toussaint)
2. Viva La Money (A.Toussaint)
3. Declaration of Love (A.Toussaint)
4. Happiness (A.Toussaint)
5. The Optimisim Blues (A.Toussaint)

Recorded at Cherokee Recording Stuidos Hollywood
Enigneer: Dee Robb
Assistant Engineers: Joe Chicarelli and Richard Leech
Remixed by Paul Wexler at Warner Bros. Recording Studios, North Hollywood
Remix Engineer: Ledd Herschberg

Drums: Jeff Porcaro
Bass: Robert Popwell, Chuck Rainey
Guitar: Larry Carlton
Electric Piano: Allan Toussaint
Acoutic Paino: Richard Tee
Percussion: Victor Feldman, Paulinho Da Costa
Backing Vocals: Etta James, Bonnie Raitt, Rosemary Butler, Julia Tillman, Maxine Willard, Vanetta Fields, Jessica Smith

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name Email Address date

 Jeff's World

jeffs-world@pos.to

2001.06.02


 このアルバム全体を形容するに"シンプルさの極み”という言葉が適切ではないでしょうか。それを強く印象付けられます。例によって私はアラン・トゥーサンというアーティストは今まで耳にしたことがなかったでこのアルバムが初体験であります。リットーミュージック刊“ドラムブラザー”上においても写真付きで紹介されていることから好アルバムであるということだと思います。リリースが1978年ということで『TOTO_宇宙の騎士』と前後して録音されたものであり、それを重ね合わせて聞くとより興味深くなるのかな? 個人的に『宇宙の騎士』におけるジェフのドラム・サウンドが好きなので、この時期のセッションものは有り難いです。収録されている曲は、ある意味各曲とも簡素であり、派手なアレンジがあるわけでもありません。それでも聞き手にどっしりとのしかかって来るような重圧感があるのはリズム隊の凄みと言っても過言ではないと思います。 

Side-A
1. Night People
 いきなりヘビーでタイトなリズムで幕を開ける“ごきげん”ナンバー(死語かこれは?)。シンプルな楽器構成で演奏されるこの曲はラリー・カールトン、チャック・レイニー、リチャード・ティー、ジェフ等によるものか。無垢のサウンドの凄みを堪能することが出来ます。ドラムの音もかなり生音に近く、耳元にそれがヒシヒシと伝わって来ます。アルバムを通じてドラム・サウンドがダイレクトな迄に素晴らしいサウンドで録音されており、ヘンドフォンを使用して最大限の音量で聞くとちょっと感動しちゃいますね。ジェフのプレイはフリー・スタイル風に近い感じでプレイしてます。リチャード・ティがスタッフしてます(笑)。

2. Just A Kiss Away
 前曲に続きこれまたファンキーな曲。一聴してロバート・ポップウェルのそれと分かるファンク・ベースが唸りを上げるもの凄いビートの曲です。強烈なピアノのバッキング・トラックとジェフが叩き出すビートとが合いまり、素晴らしい縦乗りのうねりを作り出しています。

3. With You In Mind
 1, 2曲が嘘なような静かなゴスペル・ブルース。ラリー・カールトンのメロウなギター・ソロを聞くことが出来ます。この曲もベースはロバートポップウェルか?
 
4. Lover Of Love To Be With You
 これまたシンプルな曲で、ジェフのドラムがこれまた坪を押さえたなかなかの好演奏です。こういうのをボードビル調と言ってしまってよいのか分かりませんが、ちょっと小粋な曲で、思わずGT片手にほろ酔い気分になってみたくなりますねぇ(笑)。多くの方はこの手の曲には興味を示さないかもしれませんが、私は大好きなタイプの曲であります。

5. To Be With You
 A面の最後を飾るのはここではジェフはドラム・セットを変えているようでかなり軽めのサウンドに聞こえて来ます。それともチューニングだけで対処してるんでしょうか? スネアのミュートも強めに聞こえますし、リバーブが強めに施されております。極めの細かいシルキッシュな"One-Hand-16note"を披露。カッちとしたドラミングに驚愕しました。

SIDE-B
1. Motion
 アラン・トゥーサンのボーカルが心地よいスローバラードです。ジェフは"One-Hand-16note"によるプレイですが、ここでは“聞こえないハイ・ハット”(*注1)プレイをしております。それも曲が徐々に進むにつれて全体像が見えては来ますが。
 この曲をレコーディングしている時ってきっと凄い状態になっているんでしょうね。ゴスペルっぽいバラードではありますが、一丸となったリズム・セクションが作り出すビートには形容し難いものがあり、その最中は恐らくみんなトランス状態になっていたのではないでしょうか。

2. Viva La Money
 ラリー・カールトンが弾くワウワウ・ギターがプクプクしたフレーズを奏でるヘビー・ファンクな曲。う〜ん、この曲のノリも凄いです。
 
3. Declaration of Love
 これもジェフによる"One-Hand-16note"。ゴスペル調の曲が多いせいかジェフも自然と"One-Hand-16note"でプレイしているのでしょうか? というか、それが一番これらの楽曲に合っているということなのでしょう。リズム・ブレイクするところでのジェフのリズム感といいタメ具合といい、ちょうどいい頃合いです。

4. Happiness
 ブラス・セクション、コーラス隊。大変なゴージャスに仕上がっているアップテンポの曲。ちょうと裏ジャケットに写っている超特大の襟のシャツを着たアラン・トゥーサンのイメージにぴったりです(笑)。

5. The Optimisim Blues
 ニューオリンズの香りが“ぷんぷん”としてくる陽気なブルース。演奏がどうのこうのというよりもHonkyなピアノに乗って素直に曲を楽しめます。タイトなジェフのドラムは秀透。

 この原稿を書くために半年近くこのアルバムを繰り返し聞いていたのですが、正直なところ、どうにもこのアルバムの色というか顔というものが私には伝わって来ませんでした。それは私の派手系サウンド好きな私の好みに起因していることであると思います。ここに納められている楽曲はそれぞれ“王道を行く系”というものが多くて、非常に地味なものであり、ちょっと新鮮味に欠けてしまっているからかもしれません。だからといってアルバムの出来が悪いかというと、そうではなく非常に丁寧なプロダクションになっていて好感が持てます。ですから私自身も何とかこのアルバムを真に好きになってやろうと半年近くも胸の内で温め続けて来たわけです。それでもやはり私のベスト・アルバムにはなってくれませんでした。こればかりは好みの問題ですから仕方ないですね(笑)。ジェフのプレイはどの曲を取り上げても素晴らしいです。ダイナミクスにしてもリズム感にしてもバッチリです。好みによって意見は分かれると思いますが、各曲の感想を見てもらえばお分かり頂けるようにどの曲も仕上がりは良好でしす。お勧めアルバムであることには変わりないですね。30才代ファン必聴!
 
■入手状況■■■■■(*_*) ■■■■■
 私の知る限りでは入手は非常に困難な状況だと思います。ただしリットーミュージック刊“ドラムブラザー”に記述があるように一部の曲はベスト盤に収録されてはいるようですが。こまめに中古盤、オークションをチェックするしか方法はないようです。
ゲストの方に最新の情報を頂戴しました。下記欄を参照下さい。

(*注1)“聞こえないハイ・ハット
 Jeff's Worldによる造語。"One-Hand-16note"でプレイする場合、アクセントとその他の音を大きく叩き分けることでアクセント以外の音が殆ど聞こえなくなる状態を指す。


 shun555

2002.11.04


『Allen Toussaint _ Motion』のCDですが、現在でも輸入盤で入手可能なようですよ。以前に渋谷のHMVで見かけましたし、現在はネットでも購入可能です。

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