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Boz Scaggs
Down Two Then Left

Produced by: produced By Joe Wissert
Label : CBS SONY INC.
Release : 1977
Records: 25AP 800
CD: CSCS 6138

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Enginner: Tom Perry
Drums: Jeff Porcaro
Keyboards: Michael Omartian: Keyboards
Bass: Scott Edwards
Guitars: Jay Graydon
Guitars: Ray Parker Jr.
Photos: Guy Bourdin
Nancy Donald: Design
Irv Azoff: action

1. Still Falling For You (Boz Scaggs)
Carolyn Willis, Boz Scaggs: Backing Vocals
Bobbye Hall: Bongos
Michael Omartian: Accordion and Marimba
David Hungate: Bass

2. Hard Times (Boz Scaggs)
Jim Gilstrap, Zedric Turnbough and John Lehman: Backing Vocals
Vitor Feldman: Claves
Boz Scaggs: Guitar Solo

3. A Clue (Boz Scaggs)
Venetta Feilds, Phyllis St. James, John Lehman and Ray Galloway: Backing Vocals
Steve Lukather: Guitar Solo

4. Whatcha Gonna Tell Your Man (Boz Scaggs Jai Winding)
Carolyn Willis: Verse
Booby King, Eldridge King and Terry Evans: Chorus
Jai Winding: Accoustic Piano
Boz Scaggs: Guitar Solo
Alan Estes: Congas

5. We're Waiting (Boz Scaggs, Michael Omartian)
Carolyn Willis, Boz Scaggs: Backing Vocals
Chuck Findley: Flugelhorn Solo

6. Hollywood (Boz Scaggs, Michael Omartian)
Carolyn Willis, Myrna Mathews and Julia Tillman Waters: Backing Vocals
Victor Feldman: Vibraphone

7. Then She Walked Away (Boz Scaggs, Michael Omartian)
Jay Graydon: Guitar Solo
Carolyn Willis, Myrna Mathews and Phyllis St. James: Backing Vocals

8. Gimme The Goods (Boz Scaggs, Michael Omartian)
Bobby Hall: Congas
Jeff Porcaro: Timbales
Steve Lukather: Guitar Solo

9. 1993 (Boz Scaggs, Michael Omartian)
James Haas and Stan Farber: Backing Vocals

10. Tomorrow Never Came / Tomorrow Never Came - (reprise) (Boz Scaggs)

Strings and Horns arrangments and conducted by Michael Omartian
Horns: Chuck Findley, Steve Madaio, Ernie Watts, Fred Selden, Dan Menza, David Duke, Dana Hughes and Barbara Korn
Recorded and Mixed at Hollywood Sound
Disc Mastering: Mike Reese
Concert Master: Sid Sharp

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   カルロス


2004.09.04


自由奔放なJeff。ハイハットワークがすごすぎます。
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   J


2004.08.09


ボズのレコードで一番よく聞いたんです。
当時はコピーしようとしても到底できませんでした。
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   Jeff's World


2001.02.10


 前作『Silk Degrees』にて一躍スターダムにのし上がったボズ・スキャッグスがその次作として世に送り出したのがこの『Down To The Left』です。アルバムに添付されたライナー・ノーツによればこの頃ヒットしていた作品には“スティービー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』、ピーター・フランプトン『フランプトン・カムズ・アライヴ』、フリートウッド・マック『ファンタスティック・マック』“などと記述がありますが、ということはこのアルバムがリリースされたのは私がまだ中学生の頃ということになるんでしょうかねぇ。一般的にジェフとボズ・スキャッグスのコラボレーションといえば真っ先に引き合いに出されるのが先の『Silk Degrees』なわけですが、私としては今も、昔もこちらの『Down To The Left』の方が圧倒的に聞く機会が多いです。先に『Down To The Left』から入ったせいもあるかもしれませんが、『Silk Degrees』のどちらかというと“大人の香りプンプン”というものよりも『Down To The Left』のより“ポップ”で“明るい”雰囲気の“カリフォルニア〜”という方が耳に馴染んだのでしょう。この辺はアレンジャーでもあり楽曲の共作者でもあったブレインがデビッド・ペイチからマイケル・オマーティアンに変わったことも大きく影響しているのでしょう。それともボズ・スキャッグス自身の志向がよりゴージャス系に振られたわけかな? 
 ジェフの死後、ボズ・スキャッグスは『Silk Degrees』におけるジェフの功績を讃える話をしていましたが、このアルバムでもそれに負けない位の素晴しい仕事をこなしています。そして、心なしでしょうかジェフのドラム・サウンドがより大きめに、より前面に打ち出されているように感じます。

1. Still Falling For You
 "Lowdown"を彷彿させるようなフルート(?)のフレーズがカリプソ風な雰囲気を与えてくれる小粋な曲です。ジェフがサビで入れるシンコペ的アクセントが効いており、それが和やかな雰囲気の中でもチクリ・チクリとお尻を叩いてくれます。そしてこのハイ・ハットでの巧みなアクセントはどうやってプレイしているのでしょうか、通常のビートを叩きながらのプレイなのでしょうか? 
 リットーミュージック刊『ドラム・ブラザー』にはTOTOのメンバーとしてこのアルバムに参加しているのはスティーブ・ルカサーのみと記述されておりますが、この曲のみではありますがデヴィッド・ハンゲイトも参加してますよ。彼の図太いベース・サウンド、チョッパー、スライディング・フレーズと、その存在感を十分に堪能させてくれます。デヴィッド・ハンゲイトという人はスタジオにおいては非常に地味で堅実なプレイヤーであるという印象がかなり強い人であると思いますが、この曲ではシンプルなプレイではありますがジェフのグルーブと相まった素晴らしいプレイを聞かせてくれます。コーラス部分でアレンジされているブラス・セクションを聞いていたら何故か猛烈にスペクトラムを聞きたくなって来ました......全然関係ないですね。
 さて最後のリフレインに入る部分でジェフが入れるお得意のフィル・イン(Sample Sound_1)が旨い切り返しとなり曲が盛り上がります。こういった部分ではいくつもある引き出しから、スッと一番適したフレーズを取り出して来るわけですが、ここでもそれがドンぴしゃです。ところが、“さぁここから......盛り上がって行こう”という所であっさりフェイド・アウトしてしちゃうんですね〜。もっとこの部分を聞いて余韻に浸りたいのに。

2. Hard Times
 その曲名通りのハードなドラミングはアルバム中屈指のプレイでしょうか。事実、本当にそれはハードであり、こう何と表現したらよいのでしょうか、タム・タムのシェルがガンガン鳴っていて、それを支えるホルダーが大きく揺れているのが手に取れるように聞き手に伝わって来ます。ジェフは本アルバムでは全体を通じて小技を加えたりしてバラエティに富んだプレイをしていますが、この曲ではシンプルさを強調することでハードさを更に演出したわけでしょうか。加えてボズ・スキャッグスは前曲ではヤサ男風を演じきったわけですが、一転こちらではハードに唄い上げており、自らギターソロを弾いてしまうという気合いの入れようです。こういう重い気分の曲はどういう心境の時に書けるもんなんでしょうね。ファンキーなバッキング・ギターも無茶苦茶カッコイイです。

3. A Clue
 私のようなルカサー・フリークは何回聞いたか数え切れない程聞きまくった、ミディアム・テンポの曲です。勿論この曲においても主役は透明感溢れる歌声を披露してくれるボズ・スキャッグスなわけですが、しかしあえて大袈裟に書いてしまうと既にイントロが始まった時点からミドルで爆発するスティーブ・ルカサーのギターソロを予感させるような構成と言ってしまいたい位です。ジェフのしなるような"One-Hand-16note"の切れまくったノリに絡むギターの単音バッキング、そして全編に流れる“たららら〜ん”という渋いギター・フレーズ。これらが最高に私のハートを揺さぶります。このドロ臭い感じのノリが何とも言えないんですよね。ジェフのプレイは、さして洗練されているとは思えないのですが、こうスネアーをグッと押しつけたような感じとでも言えばいいのか......、痺れます。 
 ジェフは大まかに言えば"One-Hand-16note"でプレイする場合、この曲のようにハッキリとそれが16分音符であることを打ち出す時と、殆どアクセント音しか聞こえてことないという風に使い分けてますよね。その辺りの頃合いも心地良いわけです。ジェフは例の教則ビデオ(注1)でスティーリー・ダンの"FM"を例に取り上げてハイ・ハットのダイナミクスの付け方を解説していましたが、ここでもそれを地で行くようにかなり大胆にアクセントを変化させています。特にサビにおいてはそれが顕著になって行きますね。
 それからもう一つ、皆さんも既にお気付きのことと思いますが、ギターソロ直前の"The secret to me is you〜"の所ではシンバル・ミュート(Sample Sound_2)でアクセントを付けているわけですが、1番の同じ箇所ではハイ・ハットをオープン・クローズさせてアクセントを付けています。このように毎回フレーズをちょこっとづつ変えて来るのはジェフの定石なのわけで、これが見事にハマった好例でしょう。実際この曲におけるジェフの全てのプレイは細部に渡り行き届いており、大きく曲の仕上がりに貢献しています。そしてスコット・エドワーズの跳ねたベース・ラインに大注目!
 
4. Whatcha Gonna Tell Your Man
 片手でこのハイ・ハットをプレイしているのかと思うと本当に頭が下がる思いです。ちょうど(1)Still Falling For Youと似たようなパターンであり、曲調となってます。ギター・ソロはボズ・スキャッグス。このアルバムに限ったことかどうか分かりませんが、ボズ・スキャッグスって割とサビをコーラス風にしてしまい、自分はフェイクに回ってしまうことが多いような気がしますが、気のせいでしょうか?

5. We're Waiting
 ドラマ仕掛けのイントロで始まるこの曲では時代の要請なのか、ジェフがこの時期に行っていたセッションで頻繁に使用していたシンドラムが登場します。ジェフはあるインタビューで「それらのシンドラムはプロトタイプであり、誰よりも先に使い始めた」と発言していたような気もしますが。ジェフはそれらを大胆に取り入れているわけですが、逆に言うと私がこのアルバムに対しての唯一不満な点でもあるわけです。今聞いてしまうとどうしても陳腐に聞こえてしまうんですね。このアルバムがリリースされた頃はそんなことはなかったんでしょうが。エンディングにおいてはスティーリー・ダンの"Doctor Wu"よろしく白熱したプレイが聞けるわけですが、シンドラムが“プンプン、ポンポン”と鳴るそのプレイは気迫が何処かに抜けちゃってるように聞こえてしまいます。フェイド・アウト直前で挿入されるハイ・ハットによる32分音符によるプレイはオーバー・ダブによるものでしょう。
 
6. Hollywood
 前曲で少し気勢が殺がれてしまいますが、ここから再び大きく盛り上がります。ボズ・スキャッグスお得意のファルセット・セットが聞けるアルバム中で私が最も好きな曲です。"Hollywood"という曲が何を言いたいのか、歌詞が今一つしっくり来ないのですが、それでも好きですね。アルバム全体を通じてのバッキング・ギターはレイ・パーカー・JRとジェイ・グレイドンが担当しているわけですが、いずれの二人も素晴らしいプレイを聞かせてくれます。この曲の右チャンネルから聞こえるファンキーなカッティングはレイ・パーカーのものなんでしょうか、非常にいい感じで、私好みに弾いてくれております。
 アルバム、CD共に添付されている対訳において、"Sunset Boulevard will never be the same"の下りが今ひとつ気に喰わないのですが、悲しいかな「じゃ、なんて訳すべきか?」と聞かれても答えられないんですが......。
 ジェフの頻繁に連発して入れられるシンコベ的アクセントはこの曲というよりもアルバム全体に蔓延しています。アップテンポの素晴らしい曲です。
 
7. Then She Walked Away
 イントロを軽やかにするギター・カッティングが歌に入る直前でスライドして行きますが、この辺りのセンスが心憎いばかりです。ジェフはというとオルタネイティブなのか、"One-Hand-16note"なのか判断のつかない16分でプレイしています。サビ部分のボズ・スキャッグスと女性コーラスが非常に心地よいわけですが、そのパートにおいてジェフは歌物としてはかなりトリッキーなスネアの入れ方、アクセントの付け方で大胆にプレイしています。こういったプレイを聞くとボズ・スキャッグスとジェフとの信頼関係みたいなものをヒシヒシと感じてしまうわけですが。 16分対決という意味で(3)A Clueと比較して聞いてみるとなかなか面白いものがありますよ。
 それから、いきなりスラーから入ってしまうという如何にもジェイ・グレイドンらしいギター・ソロが決まってます。このようにスライド・フレーズや微妙なチョキーングによる音程の変化を付けるフレーズはジェイ・グレイドンならではのもでしょう。こういったプレイを聞いてしまうと彼がスティーブ・ルカサーに与えた影響の程が伺えます。というわでこれも二重○の曲です。

8. Gimme The Goods
 ジェフはイントロから規則正しく“イチ、ニ、イチ、ニ”とアクセントを付けていますが、これまた"One-Hand-16note"でプレイされたスリリングなノリをいかんなく聞かせてくれます。そしてサビの部分ではお得意のバスドラ・パターンを披露と、ジェフの好演の一曲です。その"One-Hand-16note"ですが、ここではかなりザックりした感じでプレイされており、ラフさ感を強調しているようです。
 ブリジッジ部分で出てくる“チーッヤ、チーッヤ”というアクセントを"One-Hand-16note"に絡めて来てしまうっていうのはどうにもドラム素人には非常に魅力聞こえて来るわけで。 エンディングにてオーバーダブされている"高速ハイハット・ワーク”もこの頃のジェフの得意技の一つでしたね。
 
9. 1993
 後の" Goodbye Elenore"を彷彿させるような高速シャッフル・ビート(Sample Sound_3)な本曲はこれまた時代的なものなのか、ベース・シンセが曲をリードし、何やら宇宙的な雰囲気を感じさせてくれます。1993というタイトルが今一つピンと来ないのですが、そんなことなどお構いなしにグイグイと曲を引っ張って行きます。“TOTOシャッフル”なんて言われたこのリズム・パターンも実はこの曲よりもずっと以前からプレイされていたわけですがね。緻密に計算されたハーモニー・アレンジも周到な出来であります。
 
10. Tomorrow Never Came / Tomorrow Never Came - (reprise)
 最後は厳かにボズ・スキャッグスのボーカルで締めらるスロー・バラード。タイトルには(reprise)となっていますが、どこからがその部分がそれに当たるのでしょうか? ジェフによるプレイはありません。
 
 アルバム一枚、丸飲み出来てしまう位楽しめる、とにかく素晴らしい作品だと思います。勿論それはボズ・スキャッグスの歌の妙技と楽曲の素晴らしさの上に成り立っているわけですが、ただその中でジェフのプレイも燦然と光り輝いていることには間違いないです。ジェフ・ファン如何に関わらずまだ未聴の方がいらっしゃいましたらぜひ、ぜひ一度聞いてみて下さい。絶対に損はしないアルバムであります。ちなみに現在発売されておりますCD盤はアナログ盤と同じライナー・ノーツが封入されてまして、『Silk Degrees』が新たに書き下ろされた物が封入されていることを考えると、この辺が世間のこのアルバムに対する評価なのか?

(*注1)Star Licks Super Technical Approach Jeff Porcaro
何度か版元が変わりながらも販売されているジェフ自身による唯一の教則ビデオ。
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