いよいよジェフの深みにはまった私、ことあるごとにパールの担当者に、
「ラック出る?」
「ラック出る?」
「ラック出る?」
〜 出る! 〜
担当者は、
「う〜ん、まだです」
来る日も来る日も、
「ラック出る?」
〜 出る! 〜
担当者は、
「う〜ん、まだです」
と・・・。
そして、会話の中に必ず、
〜 出る! 〜
との、謎の声、謎の囁きが・・・(笑)
■口
ジェフは、1982年来日公演直前、ラディック社製からパール社製ドラムへスイッチ、多くのファンを驚かせた(管理人@Jeff's Worldだけかもしれませんが)。
(注) パールGXとドラム・ラック、発注お願いします!
■口
なぜGX選んだのか? ジェフに限らず海外のドラマーがプレーンなシェルを好むと聞いたことと、勿論、ジェフがGXだったことからGAXじゃなく、GXにしました。
■口
1982年の来日公演はNHK「ヤング・ミュージック・ショー」でTV放送された。"Girl Goodbye"ではジェフのリハーサル風景も見ることができ、ジェフ自作による初代ラックにはパールのステッカーが貼られているのがはっきりと見ることができる。
■口
GAXシリーズは、メイプルシェルの内側にファイバーグラス・クロスを密着させることで、フレキシブルなサウンド特製をもたらし、あらゆるジャンルの音楽に対応が可能。
一方のGXシリーズは、6プライに加工した密度の高いメイプル材を100%使用し、高度な成形技術を駆使して完璧なシェルに仕上げられている。
■口パールのドラム情報誌「Fill-in」に、ラック発売らしき記事を発見
昭和58年→1983年4月20日発行、初めて、ドラマガにラックの広告が載りました!
そんな中、ついに、パールのドラム情報誌「Fill-in」に、ラック発売らしき記事を発見!? (発見した記憶があるような、ないような・・・) これで、コージー・パウエルに憧れ、“いつかはヤマハYD-9000を!”の夢を捨て、パールGXとラック購入を決断しました。
「じゃあ、パールGXとドラム・ラック、発注お願いします!」
(注)
パールの担当者は、
「本当にGXでいいんですか? GAXが最高機種ですけど? それと、いくらラック仕様とは言っても、バスドラムに、タムホルダー・ベースを付けなくていいんですか?」
と念を押されましたが、
すると、あの囁きと同じ声が・・・
〜 よくぞ、決断したなぁ! 〜
???・・・。 ラックとGXかぁ〜、どんな感じかなぁ〜? いい音するのかなぁ〜?
???・・・。 早く見たい、使ってみたい、叩いてみたい!
〜 まあ、待て。少し時間はかかるぞ 〜
???・・・
「あのぉ、すみません、少し前から、なんか話しかけてきますよねぇ?
誰ですか?誰かいるんですか? 私の頭の中・・・」
〜 おおお、やっと気づいてくれたか!
お前が気づかないと、私は存在できないんだよ。
ジャジャ〜ン! 私は“ラックの神様”だ。 ジャジャ〜ン! 〜
「ラ、ラック、の、神、様・・・?」
〜 そう、ジャジャ〜ン! ラックの神様! ジャジャ〜ン! 〜
「ラックの神様?」
〜 そうだ、ジャジャ〜ン! ラックの神様! ジャジャ〜ン! 〜
「ラックの神様・・・って」
〜 だ・か・ら、ジャジャ〜ン! ラックの神様! ジャジャ〜ン! 〜
「えっ、ラックの神様?
すみません、毎回“ジャジャ〜ン!”ちょっとうるさいんですけどぉ」
〜 えええい、お前がなんども言わせるからだ、私はラックの神様だ! 〜
「あっ、すみません、どうも・・・」
〜 あのなぁ、もう少し感動とか感激とか、なんかないのかお前には・・・ 〜
「はあ、特には、少し静かになったかなぁ・・・、ぐらいで」
〜 まあ、良い。 〜
「で、何か?」
〜 何かって・・・。お前がラック買うっていうから、来てやったんじゃないか 〜
「特に、用事はないと思うんですけど?」
〜 そう言うな、これから色々とラックについて語ろうではないか? うん? どうだ? 〜
「そうですね、新発売の今までにない商品ですし、一人でも相談相手がいた方が面白いかな?」
〜 面白い? まあ、いいか。以後、よろしくな 〜
「ところで、ラックの神様って一人ですか?」
〜 いや、ここだけの話、沢山いるのだよ。それこそ、世界各地のいろんな人達でラックのことを考えたり、創ったり。実際に使ったりしている人には、必ず、それぞれのラックの神様がついているのだ! だから、お前にも私が来てやったってことだ(笑)
私はお前の専属だ。お前の注文したパールのドラム・ラックはDR-2ツーバス用だから、DR-2の神様ってことかなっ!ハッハッハッ 〜
「なるほど、いろんなところでいろんな人か・・・ならば、ジェフのところやパールのスタッフのところにも、それぞれ神様がついてるんですね!」
〜 そういうことだ。とりわけ、ジェフはラックを必要とし、既にオリジナル・ラックも製作・使用し、更なる製作に情熱があり、良い協力者もたくさんいたようだな。なにより、彼の頭の中に明確なラックのヴィジョンがあったんだろうな。それと、パールの抜群の理解力&技術力&全面協力があり、世界の誰よりも、どこよりも早く、「ジェフとパール」という形で、世に出せたんだろう 〜
「神様、私専属でも、いろいろご存じなんですね!」
〜 それは、ラックの神様だからな!(笑)
それに、情報交換の為、他の神様とも話するんだよ 〜
「神様、実は・・・」
〜 なんだ? 〜
「・・・発注はしたもののバスドラムにタムホルダー・ベースを付けるかどうか、まだ、迷ってるんです
(注)
。ラックを使わない時は無いと不便そうなので・・・どうしましょうか?」
〜 お前の気持は、どうなんだ? 〜
「私としては、どこに行くにも、いかなる時も‘
ラック
’、‘
生涯ラック宣言
’をしたいぐらいです!」
(注) タムホルダー・ベースを付けるかどうか、まだ、迷ってるんです
■口
参考までに、画像はよっさんが所持する各種バスドラム群。タムホルダー・ベースを付けないという選択をすると、ご覧のように本来タムホルダー・ベースが取付けるられる場所にはビス穴さえ存在してしない。
〜 ならば、生涯ラック宣言したらどうだ?
少々の困難も、ジェフとの出会いってことで乗り切れるんじゃないのか? 〜
そうですね、分かりました、生涯ラック宣言します! そして、以後、困難なる時も健やかなる時も?(笑) 絶対に、バスドラムにタムホルダー・ベースは付けません。
〜 よろしい 〜
■口DジェフとDR-1の組み合わせ
脚部が角脚であることに注目。アイソレーション・ツアーで来日した際は既に丸脚であったことを考えると非常に貴重なショット。でも、フロントバーにはタムホルダー用のPCー1が一つだけの、非常にシンプルでスッキリ見える、まさに、広告用な写真ではないかと。
タムホルダーも、’85年以降なら、もう、モデルチェンジして、丸いタムの角度調整するところに、黒でパールというネームが金色で入ってる筈ですが、なぜか旧型。それに、タム自体も、ドラムのシェルを表記した黒い横長のプレート(国内では、タムホルダーが付いている上に貼られてます)が付いてます。このプレートということは、パールプレートは、黒色で小さめなものかと思われます。
そしてそして、こっそり写ってるスネア、14"×8"の超深胴に見えませんか? およそ、ジェフ自身のキットとは信じ難く、あくまで広告用にセットされたもののはず。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
■口
ついに発売となった、パール社製ドラムラックの記念すべき第1作。燦然と輝くネームプレートが眩しい。
このラックページは、何度見たことやら!(笑) 特に、ドラムのスペックをジェフ風ワンバスにするかST氏風ツーバスにするか、レイアウトに夢を膨らませながらも、迷いもあって、悩みに悩んだあの頃・・・。
■口カタログ本文紹介
ジェフ・ポカーロのアイデアにより、パールとジェフが共同開発した、スペシャル・ドラムラックDR-1。ドラマーの為に様々なアイデアとメカニズムを各部に生かし、抜群の機能性を発揮するDR-1。安定性が高くセッティングのスムーズなドラムラックに、タムタムやシンバル類をすべて自由にスピーディーにセットでき、セッティングは常に完璧です。又、最高の演奏安定性により、ドラム、シンバルのサウンドも向上しました。さらにハイハットスタンド・アタッチメントHA-80の使用により、ハイハットスタンドも確実に固定できます。
DR-1は、ライヴ、レコーディング共に、ラックの機能をより発揮できるよう、マイクホルダーのセットも可能。それぞれのタムタムやシンバルに無理なくマイクをセットできます。軽量化を考慮しアルミニウムを使用。脚部、アーム部がすべてコンパクトに収納できるよう設計しました。軽量ながら揺れなどに強い形状にデザイン、特にジョイント部には4mmスチールを使用し、十分な強化をしてあります。
■口パイプクランプ(PC-1)
パイプ直径7/8"のタムホルダー、シンバルホルダー、カウベルホルダー、各種シンバルスタンド上部がセットでき、お好きな位置に固定できます。
■口パイプクランプ(PC-2)
量なパイプならなんでもセットできるフリーサイズ・モデル。マイクホルダー(MH-80)を自由な位置にセットでき、足元がスタンドの脚だらけということもなくなります。市販の様々なサイズのホルダー、マイクスタンド等が同様にセットできます。
■口ハイハットスタンド・アタッチメント(HA-80)
ハイハットスタンド・アタッチメント(HA-80) パイプクランプ(PC-2)にアタッチメントのシャフトをセットすればハイハットスタンドは完璧に固定できます。
・・・・この項続きます。
■口セッティング例 (1)
このカタログ、この写真を何度も見ながら心踊らせた、ジェフ・モデル。シンバルレイアウトもジェフ的。82来日を模してか、カウベルのおまけ付き!(笑) でも、私的にはもっとも気になるんですが、バスドラにタムホルダーベースが!(苦笑)
■口セッティング例 (2)
ファイバーグラスシェルの多点キット。このように、当初から、脚回りのスッキリ感と安定性を打ち出してのレイアウトからしても、その後のジェフ路線じゃないセッティングも頷けますね。
■口セッティング例 (3)
はい!初級〜中級者様のワイルドウイングでのレイアウト。この様に、脚回りのスッキリ感、安定性、そして、そして、スタンドの本数を減らせるというコスト・パフォーマンスこそが、ジェフの提唱した開発プログラムだったのかも?パールの方からも、ラックは上級者用の機材と考えてる人が多いけど、初級者でも、コスト・パフォーマンスを実現でき、ドラムをレベル・アップさせていく上でも、余計なスタンドの買い換えをしなくてもいい優れものとの洗脳?(笑)説明!をされたと思います。
●
第1回パール・サマー・ドラム・スクール・スケジュール表
■口
なんと記念すべき第1回のスケジュール表。恐るべし物持ちの良さ ... 。本家パール社にも現存していないであろう。
この年は、念願であったパール・サマー・ドラム・スクールに初参加。北軽じゃなく、初開催の九州志賀島。講師には、M“P”S氏、OY氏、ST氏の布陣!私は、ST氏の初級クラスで基礎練習に明け暮れました。
その中で、普段は明るく楽しいST氏、そんな彼のラック話での二つ想い出の言葉があります。一つは、ダジャレ好きなST氏が、何かの会話の流れの中で、“ラックでセッティングすると?”
と言ったので、バカボン世代のダジャレ好きな私は、すかさず、
“セッティングがラック!”と、思わずポツリ。
“こら、先に言うなよ!(苦笑)”
オチを先走った私・・・、ST先生スミマセンデシタ。
もう一つは、確かラック発売が決定していて、“私は注文しました!”と、ST氏に言ったんだと思います。
“いいね!”、なんて、ST氏に言われるのかと思いきや、予想に反して、“ビッグネームに負けたよ”と、少々キツイ口調でつぶやかれました。
ビッグネームとは??? そう、たぶん、ジェフ・・・
その裏付けとまでは言えませんが、以前
『メイド・イン・ジャパン』
の執筆時にテキストの調べ物をするために、ドラム・マガジン’82年発売の創刊号をめくっていたら、前年’81年度のパール・サマー・ドラム・スクール? だと思われる写真が掲載されてるのですが、そこには、既に、これから発売されるであろうラックと同じ形式のものをST氏が・・・
■口
パール・サマー・ドラム・スクール 九州志賀島。記念シャツも!
■口
ドラム・マガジン’82年 創刊号
そうだ! 思い出した、ST氏でもう一つ。当時ST氏は、スタジオにライヴに大車輪の大活躍! そんな中、ライヴでのラック話。
とにかく、フロントマン(主にヴォーカル)がラックに上がりたがったと仰せでした(笑) なぜか? たぶん、ステージ上でドラムはヤマ台の上にあるので見晴らしがいいし、目立つには一番ですよね。楽器に土足、少し気は遣ってか遠慮はしていたそうですが、元々から、何人かはバスドラムに上がってたようです。
が、ラックになると、“これなら大丈夫!” みたいな、足場扱いに思われたようですね・・・(苦笑) 事前に不穏な空気を察知して、“ラックからのジャンプは危ないから駄目だよ! やめてね!” と、忠告(特に、野外等の特設ステージ。興奮状態になりやすいとか?)をするものの無駄なようでした。
ST氏の話から、お二人の記憶があります。 元ヒネリ(英語では?)バンド、広島出身のSM氏もその一人! 必ず、最後の決めに入る時は、ラックに上がり、マイク片手にジャンプ一番、飛び降りて行ったとか。
後は、いまやお笑いのみならず、日本を代表する映画監督でも名高いKT氏(お笑い時代はBT氏)。この方も、一時期音楽活動されてまして、アルバムを発売したり、ライヴしたり。とにかく、ライヴで感極まったらラック目指して一直線! やはり、見事なジャンプで決められたとか・・・(笑)
ですが、やりっ放しでないのが流石KT氏、ステージはけたら、“またやらかしてしまいました、どうもすみません。”
と、必ず、楽屋へ謝罪にこられたとのことです。ST氏も、“憎めんないんだよなぁ〜”と、その辺りの礼儀正しさを絶賛しながら、笑って話されてました・・・。
もうひとつ別件、たまにオークション眺めることがあります。そこで、'82〜'83年頃のパールのドラム(フィニッシュは、ジェフがチョイスした? “ワインレッド・ラッカー”か“ブラック・ラッカー”)で、バスドラムにタムホルダー・ベースのないものを見つけると、 “おっ、ジェフ&ラック仕様!?” なんて、少し笑顔になってる自分がいたりします(笑) というのも、当時、楽器店勤務でラック仕様を何台か販売しましたが、特に、ジェフ云々でなくラックを購入された方は、 “念のため、タムホルダー・ベースは付けておきます!”でしたから。